現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和元年度には前年度に開発した「小型化・ユニット化した非接触式試料保持装置」の評価を行い、その結果を論文として発表した。小型化・ユニット化した非接触式試料保持装置を用いたX線回折計を評価するために、粒径約200nmの酸化亜鉛(ZnO)粒子1粒のX線回折測定を行った。装置を小型化・ユニット化し、レーザーと試料の距離を約1mに短縮したことにより、試料のドリフトやジッターを約1umに抑制することに成功した。これにより、X線マイクロビーム(ビーム径約3um)と試料粒子の長時間の安定的な空間的オーバーラップを実現し、質の高いX線回折像を得た。ナノ粒子1粒に対するX線回折像から粒径(結晶子サイズ)を計測する手法も確立した。粒径は回折線幅のブロードニングから装置関数を差し引いて見積もった。通常、装置関数は粒径の十分大きな標準粒子をキャピラリーに封入しX線回折測定を行い評価するが、ナノ粒子1粒のX線回折では試料の存在する空間領域が非常に狭いため、その空間領域を考慮した装置関数の補正を行った。粒径約200nmの酸化亜鉛粒子1粒のX線回折像の詳細な解析から、酸化亜鉛粒子1粒の構造と同時に結晶子サイズを決定できた。また、この結果を論文にまとめて発表した (X-ray diffraction measurement of a single nanometre-sized particle levitated in air by an optical-trap sample holder, Yoshimitsu Fukuyama, Nobuhiro Yasuda, Kunihisa Sugimotoa, and Shigeru Kimura, J. Synchrotron Rad. (2020). 27, 67-74) 。
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