研究課題/領域番号 |
18K04906
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山中 優 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60632825)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 四次構造変化 / タンパク質超分子 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、シトクロムc’(CP)、ヤツメウナギヘモグロビン(LHb)、カルモジュリン(CaM)、乳酸菌ヘムセンサータンパク質(HrtR)を対象として以下の研究を実施した。 1)CPベースの改変タンパク質の超分子化:ドメインスワップ超分子の構造をベースにCO結合に伴い構造変化する常温菌CP(AVCP)と閉環状3量体を形成する人工タンパク質BBPl9を幾何的方向性を考慮して融合した改変タンパク質AVCP/N-BBPl9-AVCP/C(ABA)を構築した。ABAは大腸菌発現系で2量体として得られ、加熱処理により多量体を形成した。得られた多量体のCO応答性をサイズ排除クロマトグラフィーにより調べたところ、多量体はCO結合により単量体、3量体、5量体に解離した。CO雰囲気下で精製した3量体からCOを脱離させると、濃度依存的に6量体,12量体,18量体に相当する分子量の多量体を形成し、これらはCO結合により3量体に解離した。高速原子間力顕微鏡による観察から、CO非存在下では数十nmの大きなサイズの多量体が、CO結合により10 nm程度の小さなサイズの粒子に解離する様子が観察された。また、CO雰囲気下で精製した5量体を希薄濃度下でCOを脱離させると10量体に相当する分子量の多量体が得られ、CO結合により再度5量体に解離した。さらに精製した5量体を高濃度下でCOを脱離させるとゲル化した。3量体ではゲル化は見られなかった。3量体からCOを解離させ得られた高次多量体は、設計上中空のケージ構造を取ると考えられるため、現在その構造解析を進めている。 2)LHb、CaM、HrtRの超分子化:各種アルコール処理等を試みたがいずれのタンパク質においても多量体は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定課題1.「センサータンパク質のドメインスワップ超分子化と動作機構への影響評価」に関して、CP、LHb、CaM、HrtRについて超分子化を試みたが、CP以外では超分子化に至らなかった。しかしながら、設定課題2.「タンパク質改変による任意構造をもつ超分子構築と動作機構への影響評価」については、CPをベースとしたABAの構築とその超分子化、およびCO応答的な構造変化が観測されたことで、おおむね目標を達成しており、計画は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ABAについて設定課題2.「タンパク質改変による任意構造をもつ超分子構築と動作機構への影響評価」を完了し、これをもとに設定課題3.「複数種タンパク質のキメラ化・超分子化によるナノマシンの構築」に着手する。すでに、CPをベースとしたキメラ蛋白質の設計は完了している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定を変更し、設備備品を購入しなかった為。次年度追加購入する消耗品費に充てる。
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