研究課題/領域番号 |
18K04911
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
青木 画奈 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 主任研究員 (90332254)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁場アセンブリ / 遮熱 / 熱赤外線 / 反磁性体 / 常磁性体 / アンテナ / 3次元 |
研究実績の概要 |
本研究は,基板表面に対して法線方向の構造設計自由度が高く,作製速度の速い,新しい 3 次元微細構造作製技術を創出し,この技術を用いて熱赤外線を選択的に反射するアンテナ構造を基板上に一括形成することにより,経済的に遮熱基板を実現することを目的としている。実施一年目の昨年度は、遮熱構造形成プロセス(磁気異方性2次元部品の形成、外部磁場印加による2次元部品の基板面直方向への一括配向アセンブリ、UV照射による2次元部品の基板上への永久固定)を概ね確立し、今年度の注力課題として、外部磁場印加下で、磁気異方性2次元部品を効率よく誘導できる、基板上のスリット形状の検討を設定していた。しかし、今年度は実験設備を移動する必要が生じ、再構築の場の確保が困難であったため、構造作製を進めることができなかった。 今年度に作製を予定していたスリットは、開口部から底辺に向けて側壁が傾斜したスロープ形状であったため、これまで使用してきたコンタクトリソグラフィ法では、そもそも制御が難しい形状だった。そこで、サブミクロン精度で基板面直方向に微細構造を形成可能なマスクレス露光装置の導入を所属機関に提案した結果、次年度に共用設備として導入することが決まり、研究代表者が主導して設置することになった。次年度は、当初の計画にはなかった本装置を活用して、遮熱構造形成および最適化を加速し、計画の遅延を挽回する。更に、本装置から直接、遮熱構造を形成した場合の構造精度および生産性を、当初計画していた磁場アセンブリ法を用いる方法と比較し、磁場アセンブリ法が産業展開に耐える技術か判断する。 この他、昨年度に誌上発表した、磁場アセンブリの原理実証の成果を国際会議で発表し、本技術の広範囲な研究領域への浸透に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験設備を移動させる必要が生じたので、一旦、解体したが、場所の確保が困難で再構築出来ず、構造作製を進めることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
実験設備の設置場所を年度末に確保できたので、再構築を早急に進め、計画の遅れの挽回に努める。この他、所属機関に共用設備として導入予定の、最小300 nm程度の解像度で、2次元および2.5次元パターンを基板上に描画可能なマスクレス露光装置も活用し、今年度に検討を予定していた、アセンブリ基板上への傾斜開口スリット形成および最適化を進める。本マスクレス露光装置は、解像度が1ミクロン程度に留まるコンタクトリソグラフィ法よりも微細な構造を描画可能であるため、昨年度にコンタクトリソグラフィ法でパターン形成していた段階では作製を諦めていた、サブミクロンサイズの磁気異方性2次元部品の作製や、熱赤外反射アンテナ構造を、直接基板上へ形成する能力も期待できる。磁場アセンブリ法を用いる場合との生産性、構造精度の比較も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験設備を再構築出来なかったため、構造作製実験が進まなかった。実験用品の消耗が進まなかったので、その分の予算が残った。残額は次年度の消耗品購入に充てる。
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