研究課題/領域番号 |
18K04913
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
水野 純 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (50644499)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 最小製造可能寸法 / 電極配線レイアウト / 試作コインランドリ施設 / フォトマスク / Deep-RIE / Vapor HF エッチング装置 |
研究実績の概要 |
研究課題「低直流電圧で駆動するMEMSアクチュエータに関する研究」について令和1年度に実施した研究成果を次のように述べる。 本研究は、現在の集積回路やマイコン等で使用されている3.3V~5.0Vの低直流駆動電圧を用いてマイクロアクチュエータを5μm以上という比較的大変位量が得られるように構造体及び駆動原理について様々な工夫を行う独創的・革新的な研究である。昨年度の第一次試作で得たノウハウを生かし、設計改善を行い、目指すデバイスに一歩近づいたと考える。しかし、今後、特性評価を行っていく予定であり、その結果がまとまり次第論文執筆するため、今回は実績の詳細な記載を差し控えたい。 改善された設計に基づき、昨年度と同様にデバイス製造のプロセスの確立とその試作について製造工程設計を行い、試作において東北大マイクロシステム融合研究開発センターの試作コインランドリ施設を利用してデバイスを試作した。 試作コインランドリ施設は、予め東北大学ナノテク支援センター(CINTS)Web Siteにて課題を申請する必要があり、それを行った上で施設を利用できるようになる制度である。昨年度と同様に、当該年度終了後にCINTSへ成果報告書(公開型)を提出する必要があり、その報告書を作成した。デバイスの第一試作に当たり、その施設で利用した主な装置は両面アライナ露光装置一式、レーザ描画装置、Deep-RIE装置、プラズマクリーナー、Vapor HF エッチング装置、デジタル顕微鏡、熱電子SEM、レーザ/白色光共焦点顕微鏡、ワイヤボンダ、純水や薬品等である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した研究目的に対する達成度を次のように述べる。 ①詳細設計の確立:問題となっていたバネを電気的に完全に絶縁する対策を行い、マスク設計に反映した。また、デバイスをセラミックパッケージに実装し、電極のワイヤーボンディングを行いやすくするため、電極配線の工夫を行い、ウエハー左右に電極パッドを一列に並べるレイアウトにした。 ②デバイス製造のプロセスの確立とその試作:研究実績の概要欄に記載した通り、試作は東北大マイクロシステム融合研究開発センターの試作コインランドリ施設利用によってデバイスを試作した。昨年度、最小製造可能寸法の限界までデバイスを設計できることが分かったため、そのことも踏まえて次期試作の構造設計に反映した。 ③駆動電圧3.3V~5.0Vで動作検証(デバイスの特性評価):昨年度中に準備した、直接プローバを接触して評価できる評価システムをやめ、セラミックパッケージに実装したものを評価することに決めた。プローバを用いる評価方法を中止した理由については、プローバと電極パッドの電気的接触が不安定になる可能性が高く、評価結果にバラつきが生じるからである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、基本的には実験計画に沿って引き続き研究を遂行する。具体的には、試作したデバイスをセラミックパッケージ実装とワイヤーボンダー装置により電極配線を取り出し、特性評価を行い、その結果を次期試作にフィードバックする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に予定されていた装置が予約されていたことにより利用できなかったため。その実験装置は翌年度に使用する予定である。
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