研究実績の概要 |
本研究では、結晶セレン薄膜フォトダイオード(PD)の微細加工プロセスを開発し、光電変換素子の幅・長さを20 um以下まで小型化することで直列抵抗を低減し、大きな光生成電流を損失なく取り出し、PD小型化の高効率光電変換への有効性を示す。平成30年度は結晶セレンPDの各構成材料(ITO, TiO2, Se, Au)の加工プロセスを整備し、半導体微細加工プロセス技術により自作の簡易マスクを用いて50 um×50 umのマイクロPDアレイを試作した。光センサ小型化のための微細加工プロセスについては確立できており、マスク設計変更により20 um×20 umの光センサへの小型化についても実現できる見込みである。試作した超小型PDを用いて電流電圧特性を調べて光電流が得られることを確認した。加工プロセスによるPN接合へのダメージについても見積もった。以上について成果をまとめて論文発表を行った。ステンシルマスクを用いることでエッチングプロセスを行うことなくパターニングしたPDと比較して、エッチングを含む半導体微細加工により作製したPDは暗時漏れ電流(ノイズ)が大きくなった。エッチング条件の検討、および高精細ステンシルマスクを用いたマイクロPDの作製等の方法を検討しPN接合へのダメージ軽減に次年度取り組む予定である。一方で応用展開の試みとして透明ポリイミドフィルム上へマイクロ結晶セレンPDの加工プロセスの開発にも取り組み、フレキシブル可視光センサを試作し動作確認に成功した。
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