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2018 年度 実施状況報告書

多層膜金属触媒を用いた湿式シリコン基板垂直エッチング法の高精度制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K04916
研究機関関西大学

研究代表者

清水 智弘  関西大学, システム理工学部, 准教授 (80581165)

研究分担者 新宮原 正三  関西大学, システム理工学部, 教授 (10231367)
伊藤 健  関西大学, システム理工学部, 教授 (50426350)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードエッチング / Si / 基板加工技術 / TSV
研究実績の概要

Ti, W, SiO2およびHfなど様々な金属を中間層としての実験を行い、MacEtchを用いたSi基板加工における金属中間層の効果や選定の方針に関して重要な知見を得た。MacEtchによりSi基板に垂直孔を得るためには、触媒金属(Auなど)- Si間の相互原子拡散を抑制するバリアメタルとしての働きが金属中間層に求められることを明らかにした。具体的な実験は3次元実装基板用(3D-LSI)のシリコン貫通孔電極(TSV)を想定し, 様々な金属中間層を用いた触媒によりSi(100)基板に対し垂直な直径10μmの高アスペクト比ホールの形成を行った。金属触媒膜パターンはフォトリソグラフィを用いたリフトオフプロセスにより形成した。Au膜の厚さは20nm、金属中間層は10nmそれぞれスパッタ堆積を行った。金属中間層を用いずに、Au触媒膜のみでMacEtchを行った場合, 触媒の金膜が分裂し、小さな穴が無数に空いた。一方で中間層を用いて、Au/SiO2やAu/Ti膜を触媒としてエッチングした場合は、金属の分裂が起こらず、直径約10μmの垂直孔が得られた。以上の結果から,触媒金属(Au)とSi原子の相互拡散が起こり,Au触媒膜側に拡散したSi原子がMacEtch中に触媒膜の分裂を引き起こし, Siエッチング形状が崩れることが明らかになった。すなわち, 金属中間層として求められる役割の一つが, SiとAu原子の相互拡散を抑制であることがわかった。今後はWなど実際にLSIプロセスに用いられているバリアメタルを中間層とすることで, 現在のSiプロセスと高い親和性を持つエッチング加工技術に発展すると期待する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた, 「多層膜金属触媒がSi基板の加工形状に対する影響の把握」および「多層金属構造を用いたMacEtch反応メカニズム」については、ほぼ明らかとなり, 中間金属層に求められる効果はAuとSiの相互拡散の抑制であることが分かった。また断面TEMを使った観察結果から、エッチングの初期段階において、これらの金属中間層は溶解しているため,エッチング反応に直接のかかわりがないことも明らかになった。 残された課題としては, 「深さ100μmを超える高アスペクト垂直ホールの形成」だが, 深さ100μmのホールに関してはすでに課題をクリアしており, 現在はSi基板の貫通孔を得るのに十分な深さの250μmに挑戦している. 一方で新たな課題として, 深さ100μmを超えるとエッチングホールが歪曲することが明らかとなった. エッチング中のホールの歪曲は論文などではあまり報告されておらず, 発生のメカニズムや抑制方法などの検討が必要であると考える。
一方で, これまでの研究の中で, 金属中間層だけでなく、添加剤として用いた界面活性剤にホール形状を垂直に保つための重要な役割があることを発見した。特に深さが100μmを超えるような長時間のMacEtcにおいてホールの垂直性を保つ効果が見られた。このような報告はこれまで無く、添加剤によるエッチング形状の制御の可能性を示唆する新たな成果と考えられる。

今後の研究の推進方策

深さ250μmを超える垂直ホールの形成を試みる. これまでの研究結果から添加剤がエッチング形状を改善することを明らかにしているが、詳しいメカニズムやMacEtchに最適な添加剤の種類やエッチング条件などはわかっていない。今後は、エッチング溶液濃度、基板抵抗率、添加剤などエッチングのパラメータを変化させて、加工形状に与える影響を調査し、添加剤の役割やエッチング形状に与える効果について調査を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初その他の項目として電子顕微鏡の整備を計画していたが、大阪北部地震の影響で主要部品が故障してしまい、計画金額では不足したため、別の予算から工面した。
繰り越した金額は、新たに計画している添加剤の効果を調査する実験や、研究を効率的に進めるため、学生アルバイトへの謝金として使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Effect of a metal interlayer under Au catalyst for the preparation of microscale holes in Si substrate by metal-assisted chemical etching2019

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Tomohiro、Niwa Ryosuke、Ito Takeshi、Shingubara Shoso
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 58 ページ: SAAE07~SAAE07

    • DOI

      10.7567/1347-4065/aaec15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of additives on preparation of vertical holes in Si substrate using metal assisted chemical etching2019

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Tomohiro、Niwa Ryosuke、Ito Takeshi、Shingubara Shoso
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of an interlayer under Au catalyst for preparation of microscale holes in Si substrate by metal-assisted chemical etching2018

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Niwa, Tomohiro Shimizu, Michio Matsumura, Takeshi Ito and Shoso Shingubara
    • 学会等名
      ISPlasma 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of Annealing Condition on Formation of Cu2ZnSnS4 Thin Films Using CS22018

    • 著者名/発表者名
      K. Yoshikawa, T. Shimizu, S. Tanaka, T. Ito, S. Shingubara
    • 学会等名
      35th European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of additives on metal-assisted chemical etching2018

    • 著者名/発表者名
      T. Shimizu
    • 学会等名
      3rd International Conference on Emerging Advanced Nanomaterials(ISEAN2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Effect of Additives for Preparation of Vertical Holes in Si Substrate Using Metal-Assisted Chemical Etching2018

    • 著者名/発表者名
      R. Niwa, T. Shimizu, T. Ito, S. Shingubara
    • 学会等名
      31st International Microprocesses and Nanotechnology Conference(MNC2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] 貴金属触媒を用いた湿式Si-TSVエッチングにおける添加剤の効果2018

    • 著者名/発表者名
      丹羽良輔、花谷俊輔、山口嵩人、清水智弘、伊藤健、新宮原正三
    • 学会等名
      第28回マイクロエレクトロニクスシンポジウム 秋季大会(MES2018)
  • [学会発表] MacEtchを用いた垂直孔形成における添加剤の効果2018

    • 著者名/発表者名
      花谷俊輔、清水智弘、伊藤健、新宮原正三
    • 学会等名
      応用物理学会 界面ナノ電子化学研究会 第四回ポスター発表展

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公開日: 2019-12-27  

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