研究課題/領域番号 |
18K04917
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
細川 和生 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (00373366)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロ流体チップ / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
マイクロRNA(miRNA)はがんなどを早期に非侵襲で診断するための次世代バイオマーカーとして期待されている.診断目的のmiRNA検出法として,定量逆転写PCRが最も有力であるが,測定時間やコストの点でまだ課題がある.本研究では,申請者が独自に開発してきたマイクロ流体チップを活用することにより,定量逆転写PCRよりはるかに短時間・低コストなmiRNA検出法を開発することを目的としている.これまでの研究で,外部ポンプを必要としない「自律駆動マイクロ流体チップ」によって20分でmiRNAを検出することに成功しているが,その感度は十分ではなかったため,本研究では感度の改善が一つの主眼である. 昨年度までに,反応溶液の組成を最適化することにより,miRNAの検出感度が10倍ないし100倍程度改善されることを見出し,いくつかの配列でこの効果を検証してきた.今年度は,この新しい反応液組成を用いて,生体由来の複雑な検体から目的のmiRNAを検出できるかどうかを検証した.検体として市販のヒト白血球由来トータルRNAを使用し,そこに含まれるmiR-16の量をマイクロ流体チップによって測定した.その結果を従来法である定量逆転写PCRによる結果と比較したところ,検体濃度が0.1 ng/uL の場合はかなり良く一致したが,検体濃度を上げていくにつれてマイクロ流体チップによる結果の方が低くなる傾向が見られた. 上記の検討と並行して,さらなる感度に改善に取り組んだ.具体的には従来のDNAプローブの代わりに人工核酸の一種であるロックド核酸プローブを用いた検出実験や,検出用の蛍光標識プローブの濃度の最適化などを試みた.しかしながら感度の改善に有効な条件を見出すには至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
連携して研究していた博士研究員が退職した関係で,予定していたよりも少ない実験量にとどまったため
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今後の研究の推進方策 |
人工核酸プローブやhybridization chain reactionの導入,検出プローブの最適化などにより,さらなる高感度化を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
連携して研究していた博士研究員が退職した関係で,予定していたよりも少ない実験量にとどまったため,消耗品の使用に残余が生じた.また,新型コロナウイルスの流行によって予定した学会が中止になったため,旅費等に残余を生じた. 研究を加速することにより次年度執行する.主として消耗品に使用する.
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