研究課題
基盤研究(C)
磁性と超伝導が共存する物質として注目を集めるルテニウム系銅酸化物に着目し,その精密物性測定に向けた単結晶試料の合成に取り組んだ.1辺100マイクロメートル大のルテニウム系銅酸化物単結晶合成手法の確立に成功した.単結晶試料を構造解析し,①超伝導CuO2面へのRu置換と②ブロック層のSrサイトへの希土類置換,の2つの要因により超伝導が阻害されていることを明らかにした.更に超伝導面間に希土類層が2層挿入したRuRE-1222系の単結晶合成に初めて成功した.
ルテニウム系銅酸化物高温超伝導体
本研究課題により,分解溶融型の複合酸化物でルテニウム元素の昇華性もあり極めて合成の難しいルテニウム系銅酸化物の微小単結晶試料の合成手法を確立することに成功しました.この成果は他の蒸気圧の高い材料や分解溶融型物質の単結晶成長に関して新たな合成経路を提供するもので,多くの類型化合物への展開が期待できます.更に単結晶試料を用いた精密物性測定によってルテニウム系銅酸化物の超伝導機構の解明が進みました.