研究課題/領域番号 |
18K04930
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
青山 哲也 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50342738)
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研究分担者 |
田中 利彦 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 教授 (10709819)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 分子配向 / ナノ・マイクロ科学 / 有機トランジスタ / 有機光エレクトロニクス |
研究実績の概要 |
本研究では、従来の1次元的な分子配向技術を発展させ、分子配向の2次元パターニング技術の開発を実施している。本年度は、移動度異方性評価方法の開発、冷間等方圧加圧による移動度増大、分子配向薄膜のスペクトル分布解析手法の開発、およびラビングプローブの検討に主に取り組んだ。 (1) 移動度異方性評価方法の開発:新たに移動度の異方性評価のための電極パターニングと、その蒸着マスクを開発した。それにより、ラビング方向に対して、平行および垂直のみではなく、中間角度での移動度評価が可能となり、フィッティングによる異方性の緻密な評価が可能となった。 (2) 冷間等方圧加圧による移動度増大:薄膜をラビングした後に冷間等方圧加圧することの移動度への効果を検討した。以前に、チエノキノイド薄膜をラビングすれば移動度に異方性が生じるなどの変化が生じる一方で、冷間等方圧加圧では移動度などに変化を生じないことを確認していた。今回、薄膜をラビングした後に冷間等方圧加圧したところ、移動度の向上が確認された。ラビングにより、分子配列がEdge-onからFace-onに変換することに関係すると推測される。 (3) 分子配向薄膜のスペクトル分布解析手法の開発:開発した2次元精密ラビング装置により簡便に分子配向膜を得られるようになったため、テフロン配向膜を用いたアゾ色素の分子配向膜へと対象化合物を拡充した。高解像度の偏光顕微鏡観察と、コンピューターによるスペクトル解析により、分子配向薄膜中の局所的スペクトル分布を観察可能となった。 (4) ラビングプローブの検討:2次元パターニングに向けて、従来のラビング布に代わるプローブ材質の検討を行った。シリコーン・エラストマーにおいて、作製条件と硬度の関係を検討した。また、微細パターニングを行う金型について調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 温度制御内蔵2次元精密ラビング装置が完成している。 (2) ラビング温度制御の効果を確認している。 (3) 分子配向薄膜および分子配向トランジスタの評価方法が拡充している。 (4) 新たに冷間等方圧加圧を適用し、移動度増大効果を確認している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) ラビング条件の検討:高配向度化に向け、ラビング温度に加え、ラビング圧力、掃引速度などのラビング条件の検討を随時行う。 (2) ラビングプローブの開発:ラビング布に代わるプローブの開発を実施する。分子配向の微小化に向けて、モールド等を利用したマイクロラビングプローブを開発する。 (3) 分子配向パターニング:開発した精密2次元ラビング装置を用いて、分子配向パターニングを実施する。 (4) 冷間等方圧加圧の適用:加圧による移動度増大効果と分子配向様態について検討を進める。 (5) ラビング装置の応用:種々の化合物の分子配向薄膜を作製し、局所的分子配向などの配向様態の解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(1) アルバイト雇用を次年度に集中させるため、今年度の雇用を見送った。
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