ウルツ鉱型結晶構造を持つ窒化物半導体は陰イオンとなる窒素層と陽イオンとなるIII族層が交互に積層しており、陰・陽イオンの局所的な重心の微妙なずれにより積層方向に内部電界が生じる。結晶の表裏が反転したGa極性面とN極性面では、この内部電界の向きが逆転するため、それに応じてデバイス構造を最適化する自由度ができる。従来平坦な成長表面が得やすいGa極性面が用いられてきたが、N極性面成長の改善により、第5世代移動通信に利用できる高電子移動度トランジスタでN極性がGa極性を凌ぐ特性を持つことが報告されている。本研究では極性の判定法、極性選択機構の解明、N極性成長の平坦性の改善などにつながる成果を得た。
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