研究課題
表面から深さ方向の構造を原子レベルで評価できる有用な解析方法としてX線反射率法が表面材料開発など多くの分野において利用されているが、最近になってこのX線反射率理論式に重大な誤りが含まれており、現在使用されている理論式では正確な構造が得られないばかりでなく場合によっては大きく違った構造の結果を与えてしまうことが分かった。そこで、本研究では、多層膜薄膜表面などのX線反射率測定による構造解析のためのより正確な解析式を求めることを目的として、X線反射率測定以外の分析法との比較検証、即ち、同一の多層膜表面試料についてX線反射率法と断面TEM観察、AFMによる表面粗さ観察、RBS測定による膜厚測定の4つの測定解析結果の比較検証を行うことにより、粗れた界面における透過係数と反射係数の減衰率について物理的に合理的な解析式を求める。X線透過係数の減衰率、X線反射係数の減衰率は、共に、表面粗さ、界面粗さの表面に平行な方向のモルフォロジーに依存するため、求めようとする減衰率はいずれにしても近似的なものとなる。そこで、この表面粗さモルフォロジーの違いによる最適な減衰率近似式の違いを探るため、表面粗さモルフォロジーの違う表面試料についてX線反射率測定結果を解析し、粗さモルフォロジーの違いによる最適な減衰率近似式の検討を行った。研究代表者は、本研究課題申請時の平成29年度までは、神戸大学研究基盤センター機器分析部門に所属し、高性能多機能薄膜X線回折装置や、高分解能分析電子顕微鏡、多機能原子顕微鏡装置など、多くの分析装置を管理しており、その分析機器を利用できたが、平成30年度に工学研究科に移動となり、これらの分析装置の利用が困難となったため、平成32年度も,表面粗さモルフォロジーの違う表面試料についての測定結果などについて精度を高める理論解析を平成31年度に引き続き進めた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Adv. X-Ray. Chem. Anal., Japan
巻: 52 ページ: 81-111