有機発光ダイオードや有機太陽電池の機能発現に重要な有機半導体ヘテロ界面における構造無秩序化を走査トンネル顕微鏡(STM)で直接観測に成功した。プロトタイプの有機ヘテロ界面として、セキシチオフェン(6T)/フッ素化銅フタロシアニン(F16CuPc)の2分子層ヘテロ界面を選び、6TをF16CuPcに積層することでF16CuPcの分子配列が無秩序化した。また、様々な分子配座を有する分子が存在し、中には著しく屈曲したものが無秩序層に見つかった。6Tの代わりにセキシフェニル(6P)、ジヘキシル6T(DH6T)、F16CuPcの代わりにCuPcを用いた有機ヘテロ界面の分析から、分子形状や分子間相互作用、第1層目の分子秩序に依存して、完全無秩序膜の形成と有機ドナーアクセプター錯体の形成が区別されることが分かった。また、ヘテロ界面形成におけるSTM画像の被覆率依存性から、室温における無秩序構造の形成過程を明らかにした。界面構造形成に重要なパラメータとして表面エネルギーを考慮し、その値が分子配向に依存して変わり得ることも示唆することができた。
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