研究課題/領域番号 |
18K04945
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30257448)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 亜酸化銅 / 太陽電池 / 低温成膜 / 酸化亜鉛 / 酸化スズ / 酸化ゲルマニウム |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き新規なn形及びi形半導体薄膜の材料開発及びCu2O表面へのダメージフリーな成膜技術の高度化を実施した。本年度は、昨年度同様中間目標として変換効率10%を実現を目指した。具体的には、以下の2つの研究開発項目を実施した。
【①パルスレーザー蒸着法による新規なn型及びi型半導体薄膜の材料開発】前年度の成果をベースとして、酸化物、硫化物及びセレン化物等を組み合わせた多元系(複合)n形半導体薄膜をPLD装置を駆使して作製し、その中から優れた特性を実現できる材料の探索・開発を実施した。特に酸化ガリウム、酸化亜鉛、、酸化スズ等の2元酸化物を集中的に探索した。その結果、酸化亜鉛-酸化スズ系のn形半導体薄膜において、薄膜の化学的組成を制御することにより、太陽電池セルの起電力特性を制御可能であることを見出した。しかしながら上記の材料の中には変換効率10%を超える物質を見出すことはできなかった。
【②Cu2Oシートの荷電子制御およびダメージフリーなn形半導体薄膜成膜技術の高度化】 昨年度開発に成功した熱処理によるCu2Oシートの低抵抗化技術をベースに様々な条件下でゾル・ゲル法により半導体薄膜/Cu2Oシート界面の制御技術の高度化を実施した。具体的には、プラチナ板を採用する陽極電極の形状を工夫することにより、半導体薄膜/Cu2Oシート界面状態の改善、並びに成膜した半導体薄膜表面の平坦化を実現できた。この成果により、上部透明電極であるAl添加酸化亜鉛薄膜をPLD法と比較して、より実用的な成膜技術であるスパッタ法で形成して作製した太陽電池素子においてもこれまでで最も高い変換効率を実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 変換効率10%を超える特性を実現可能な新規な材料探索において、有望な材料系の特定に予想以上に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
材料探索の進捗を計りつつ、当初の計画に従って研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、他の助成金等の予算から消耗品費等への充当ができたため、一部予算を繰り越した。次年度は繰り越し分も合わせて使用する予定である。
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