物質中で質量のない粒子として振る舞うディラック電子を有する物質群は、極めて高い移動度を持つことから、次世代エレクトロニクス材料としての応用が期待されている。本研究では、ディラック電子系材料の1つと期待されるアンチペロブスカイト型酸化物Ca3SnO薄膜の作製とその電子状態評価を行なったものである。成長時の基板温度と酸素分圧の精密制御によって、Ca3SnO単結晶薄膜を得ることに成功した。得られた試料の電子状態評価を行なったところ、Snの価数は通常取りうるSn4+やSn2+ではなく、Sn4-が主な構成要素であることを見出した。
|