極低温域で機能する温度計の開発を進めている。製作が難しかったバイメタル合金の融着加工に成功し、無酸素銅とインバーからなるバイメタル合金を熱間等方圧加圧法を用いる事で、少数だけを作製する事が出来た。この方法で合金を作製した場合、無酸素銅とインバー材の板厚の精密な調整に対して、非常に難しい問題が残り、極低温環境下でのバイメタル合金の曲がり具合を確認しながら、最適な板厚の選定を別途行う必要が生じた。この板厚調整の加工に関しては、高エネルギー加速器研究機構の機械工学センターの協力が得られ、何種類かの板厚の組み合わせ品を製作する事が出来た。光ファイバーのグレーティング部分で規定した反射率の値と、支持具としてのバイメタル合金の板厚の組み合わせを調整しながら、極低温環境下で最も感度が高い組み合わせについての調査を行った。今回開発した極低温環境下での温度測定技術を応用して、超伝導加速技術を用いた加速器装置内に納められている、超伝導磁石の温度測定に協力した。電磁石本体の温度測定を通じ、これまでに充分な冷却効果が得られて居なかった理由と原因を明らかにし、更に有効な対策を講じる事で、超伝導磁石の到達最低温度を充分転移温度以下に抑える事に成功し、過去に達成出来ていなかった安定な励磁と、自身の磁場による電子線の制御が出来て居る事を確認した。これらの得られた成果を学会及び国際会議において報告し、論文として纏めた。
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