研究課題/領域番号 |
18K04954
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
鎌田 憲彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50211173)
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研究分担者 |
矢口 裕之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50239737)
平山 秀樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70270593)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | UV-LED / 欠陥準位 / 非発光再結合 |
研究実績の概要 |
市販されているSMD型紫外LEDを放熱プレート上に固定し、放熱プレートの温度をペルチエ素子で自動制御する試料マウント部を作製した。広帯域ロックインアンプSR865Aを導入し、EL、電流、電圧測定のための実験系を新たに整備した。室温付近の一定温度下でLEDを低電流駆動し、外部からBGE光を断続照射した際のBGE光ONおよびOFF時のEL強度IB、IEが異なることを確認した。両者の比IB/IEで規格化EL強度を定義し、この比が1からずれることによって欠陥準位を検出する。複数のUV-LEDを用いてこのEL強度変化(BGE効果)を観測し、LEDチップ形状での欠陥準位検出が可能であることを確認した。 駆動回路の直列抵抗値と駆動方法により規格化EL強度、電流増加量が異なることを再度確認した。回路要因を系統的に調べた結果、 EL強度変化(規格化EL強度IN:BGE光照射あり/なしでのEL強度の比)は定電流駆動条件を基準とする、定電圧条件ではBGE光照射による電流増加分がELに寄与するため、BGE効果は+側にシフトする、電流値の増加量Δiは定電圧駆動条件で再現性良く測定可能である、定電流条件でBGE光を照射すると、一定電流を維持するために必要な電圧値が低下する、といった諸点が得られた。 駆動電流値を増すにつれ、BGE光照射による相対的なEL強度変化率(規格化EL強度)は低下するが、Δiは単調増加する。実際の定格電流駆動時での評価に近づくため、定電圧駆動時の電流増加量Δiに着目し、駆動電流400mAまでの領域でΔiの測定を達成した。ロックインアンプを導入して測定条件の改善を始め、成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
導入したロックインアンプと制御コンピュータとの円滑なデータ転送系の構築に想定以上の期間を要したものの解決した。研究分担者と連携してUV-LED材料であるAlGaN-MQW構造のMOCVD成長、LED素子加工、成長したMQW構造のBGE光照射による欠陥準位検出、電流駆動したUV-LEDチップへのBGE光照射による欠陥準位検出を分担して進めている。2018年度はAlGaN-MQW構造の結晶成長と評価に関してISAMR電話招待講演1件、CMOVPEで2件、IWNで3件(いずれも査読付き国際会議)、学振162委員会研究会で1件、応用物理学会で2件の成果講演を行った。電流駆動したLEDチップでの欠陥準位検出はIWN、APICENSで2件(いずれも査読付き国際会議)成果講演した。この他にn-GaN層内欠陥準位のLT-GaNまたはAlNバッファ層挿入効果に関して学術誌(査読付き)に論文投稿し刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
導入したロックインアンプを使用したBGE光照射によるEL強度変化の測定条件をさらに検討し、微弱変化分に対して最もS/N比の高い測定条件を探索する。次にその条件で駆動電流値を増し、より高注入状態でのBGE効果の検出に努める。またBGE光照射時に観測される電流増加Δiについても高精度測定を行い、EL強度変化とΔiのふるまい、そのUV-LED試料依存性を整理する。これまでの単純化されたキャリア再結合モデルに対して、実験で得られたBGE効果とそのBGEエネルギー、駆動電流値依存性をどう解釈するか、可能性のある組み合わせを基により実際に近いモデル化を進める。深紫外域組成のAlGaN-MQW構造を結晶成長し、欠陥準位評価と合わせて効率改善を図る。
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