研究課題
深紫外域とは別に、青色LEDに比べ緑色LEDの効率が低くもう1つの課題となっている。発光層であるInGaNのIn組成ゆらぎが非発光再結合過程に及ぼす影響が異なり、緑色組成ではその影響をより強く受けるという報告がなされている。この観点からELピーク505nm(光子エネルギー2.46eV)の青緑色LEDを用いて電流注入時のBGE光照射効果を系統的に調べた。BGE光をチョッパーで変調しELをロックイン検出する手法により、これまで困難だったBGE光照射時のEL強度変化を1mA以下の微弱電流領域から300mAまでの実使用領域までにわたって観測することが可能となった。ここで1.17eVのBGEでの規格化EL強度変化の値は1mA注入時に最大1x10(-2)、300mA注入時に5x10(-5)であった。低注入では光子エネルギー1.17eVと1.46eV、高注入では1.17eVのBGE効果が高い結果となった。電流変化ΔiはBGEエネルギー0.81eV、 光子密度2x10(+19)[cm(-2)s(-1)]のBGE光で最大となり、2.5mA注入時でおよそ0.15mA、300mA注入時でおよそ1.8mAであった。注入電流を増すとともにΔiは当初増加するが、300mA以上では飽和傾向を示した。これらの結果から、発光層とn層とで欠陥準位分布が異なり、一部の準位が注入電流の増加で飽和するためにBGE効果が異なると考えられる。総じてEL強度変化と電流変化の両面から実使用電流領域までの欠陥準位検出を達成し、本手法の有効性を実証した。EL強度変化は注入電流、BGE光子エネルギー、光子数密度だけでなくBGE光のチョッパー変調周波数にも依存し、新たな再結合時定数を得る可能性が示された。
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physica status solidi (b)
巻: 258 ページ: 2000370(1~14)
10.1002/pssb.202000370