研究課題
超微小電極をモデル電極とし、リチウム金属の電析および、析出させたリチウム金属の溶解反応解析を行った。析出リチウムおよび溶解後の残存物をcryo-FIB-SEMによって3次元構造解析を行い、リチウムイオン電池に汎用的に使われてる1M LiPF6-EC:DEC電解液中において2.0mA/cm2の条件で電析させたリチウムは均一な径を有する柱状の形態を有し、基板である銅表面に至るまで非常に密な構造を有することを確認した。またそのような電析リチウムを溶解させると、表面に存在する皮膜のみが残存させ、金属リチウムはほぼ溶解することが確認できた。その表面被膜に関しては、cryo-STEM-EELS分析によって、LiFを主成分とした厚さが20~30nmの皮膜であることを確認した。このような分析が可能となったのは、超微小電極を採用したことに加え、電子線によるダメージを極力抑えられるようなcryoホルダーを利用できたことにある。この測定ノウハウは、リチウム金属の電析形態および表面の被膜分析に有効に活用することが期待できる。また、このような柱状リチウムが形成する理由としては、上述のLiFを主成分とした皮膜形成に加え、この電解液系においては、電析初期過程において無数の核形成がすすみ、それぞれの核が結晶成長競合を経て析出反応が進むためであると考えている。電解液を1M LiTFSA-G4に変更すると、電析リチウムはサイズが大きく異なる粒の集合体となり、また表面皮膜もLi2Oを多く含むものとなることを確認した。超微小電極上でのリチウム金属の電析形態に関しては約60種の電析条件、その後の溶解後の電極表面形態に関しては約40種の条件について。データの蓄積が行えており、今後は、それぞれの表面被膜分析に加え、表面形状の機械学習など新しい解析手法を取り込むことで、リチウム金属負極の実現に貢献できればと考えている。
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