高屈折率・無反射なメタサーフェスは、誘電体基板の表裏両面に対称にペアカット金属ワイヤーを配置した構造である。カット金属ワイヤーの長辺方向の長さと間隔により材料の誘電性と磁性を制御して、高屈折率・無反射な材料特性を実現できる。比誘電率と比透磁率を同じ周波数で同値に近付けることで、メタサーフェスと真空との間のインピーダンス整合により、反射を抑えている。設計には有限要素法電磁界シミュレータ(ANSYS社HFSS)を用いた。解析による、透過の振幅と位相、反射の振幅と位相より、材料の複素屈折率(複素比誘電率、複素比透磁率)の設計値を導出できる。 設計した高屈折率・無反射なメタサーフェスをスーパーインクジェットプリンタ(株式会社SIJテクノロジ)で作製した。テラヘルツ時間領域分光法THz-TDS(Toptica社Teraflash)により作製したメタサーフェスの透過と反射を測定した。THz-TDSによる、透過の振幅と位相、反射の振幅と位相より、材料の複素屈折率(複素比誘電率、複素比透磁率)の実験値を導出できる。 THz-TDSによる測定で、2.97THzで屈折率5.88+j1.57、反射1.3%、比誘電率6.73+j0.85、比透磁率5.03+j2.11を確認した。解析では2.97THzで屈折率7.47+j0.79、反射4.3%、比誘電率6.61-j1.83、比透磁率7.30+j3.82を予測している。実験結果と解析結果の誤差の要因として、実験誤差、カット金属ワイヤーの寸法のばらつき、カット金属ワイヤーの表面粗さの影響による金属の導電率の低下とインダクタンスの増大などが考えられる。 引き続き、高屈折率・無反射なメタサーフェスにより、6G(Beyond 5G)通信やイメージングに向けたテラヘルツフラットオプティクスの材料プラットフォームの構築を推進していきたい。
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