研究課題/領域番号 |
18K04992
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 大介 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (30630024)
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研究分担者 |
齊藤 泰司 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (40283684)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中性子イメージング / 溶融ガラス / 沈降速度 |
研究実績の概要 |
高温溶融ガラス内における金属元素等の固相挙動を中性子イメージングによって可視化・計測するため、本年度は異なる成分のガラスに対する中性子透過特性を調べた。中性子イメージング実験は京都大学研究用原子炉(KUR)のB-4中性子導管実験室で行った。CCDカメラシステムを用いて、中性子透過画像を取得した。ガラスは含有成分によってその特性が大きく変化し、ガラス固化に使用されるガラスも様々な成分を含んでいる。固体状態でのソーダ石灰ガラスとホウケイ酸ガラスの中性子イメージング結果を比べると、ホウケイ酸ガラスの中性子減衰係数が非常に大きいことが分かった。ホウケイ酸ガラスには中性子吸収材としても使用されるホウ素が多く含まれているため、中性子イメージングでホウケイ酸ガラス中の粒子挙動の可視化は難しいと考えられる。また、昨年度に求めたグリセリン水溶液における粘性係数と沈降速度の関係からガラス中における粒子沈降速度の推定を行ったところ、CCDカメラシステムの撮影速度では粒子挙動を捉えることが難しいことが分かった。そこで、高速度カメラを利用した中性子イメージングシステムの構築を行い、取得画像におけるノイズ除去に関する検討を行った。さらに、昨年度取得したグリセリン水溶液における粘性と速度の関係性において、より多くの条件におけるデータを得るため、水溶液濃度に加えて温度を制御した実験を行った。これにより、粘性係数の範囲を広め、系統的なデータを得ることができた。また、多数の画像から自動で粒子速度を推定するための処理手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グリセリン水溶液を用いた実験については広範囲なデータ取得から、溶融ガラス中の沈降挙動と比較するためのデータベースを得ることができた。しかしながら、ガラス溶融用高温炉を使用中に加熱できなくなる不具合が発生し、中性子イメージング実験を途中で中断した。そのため、金属球挙動の系統的なデータ取得を終えることができなかった。早急に修理を行い、再度実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
中性子イメージングによって溶融ガラス中における金属球の沈降過程の可視化実験を行う。しかしながら、COVID-19感染拡大の影響により、KURおよびJ-PARCにおける運転計画の変更が生じ、実験の実施が難しくなることも考えられる。数少ない時間で実験結果を得るため、十分な予備実験を行うとともに、対策を検討する。
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