研究課題/領域番号 |
18K04996
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
若林 源一郎 近畿大学, 原子力研究所, 准教授 (90311852)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シンチレータ / 自己放射化 / 二次中性子 / 放射線治療場 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヨウ化セシウム(CsI)シンチレータに含まれるヨウ素とセシウムの放射化反応を利用して、従来の放射化法よりも高感度・高精度で簡便に熱中性子束を測定する方法を開発することを目的としている。 平成30年度は、本研究で提案している測定原理を確認するため、主に検出器の製作とテスト実験を行った。具体的には、CsIシンチレータ検出器を製作して熱中性子を照射した後、シンチレータ内に生成されるCs-134mから放出される内部転換電子をシンチレータ自身で高効率測定することにより、Cs-134m放射能の定量を行った。この方法にカドミウムフィルタ法を適用することにより、熱中性子束を精度よく求められることを確かめた。 当初の計画では、照射実験は近畿大学原子炉を利用する予定であったが、年度の途中から装置の不具合により原子炉の運転が停止したため、一部の実験は原子炉起動用のPu-Be中性子源を利用して行った。また、照射実験の際には、熱中性子束測定法として従来から広く用いられている金の放射化法も併用して熱中性子束を測定し、CsIシンチレータの放射化によって得られた結果と比較を行い、従来の放射化法よりも高感度・高精度で簡便に熱中性子束を測定できることを確認した。さらに、シミュレーション計算によって検出器自身による自己遮へい効果の評価も行ったほか、放射化によって生成した放射能をほぼ100%の検出効率で定量できていることも確認した。 得られた成果は、国内外の学会・研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた照射実験を原子炉や代替中性子源を用いて実施し、目的としていた測定原理の確認を行ったほか、シミュレーション計算による評価も行った。また成果を国内外の学会・研究会で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降は、熱中性子束と熱外中性子束を同時に測定する方法を開発するための基礎実験として、近畿大学原子炉の典型的な熱中性子炉スペクトルを使って原理検証のための照射実験を行う。またシミュレーション計算も併用しながら、具体的な放射線治療場における中性子スペクトルを決めて、本研究で開発した方法を適用するための検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の物品の納品が遅くなり、支払いが次年度に繰り越されたため、次年度使用額が生じているが、支払われ次第使用される予定である。
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