本課題では放射性核種の分離に用いられる抽出剤の放射線分解を研究した。抽出剤の分子は放射線によって分解し、抽出溶媒の劣化の要因となる。本研究ではアクチノイド核種の抽出剤を対象に、放射線分解反応を調べた。その結果、抽出剤が放射線により直接分解した場合にも、溶媒分子の分解に起因したラジカル反応で分解した場合にも、ナノ秒程度の速い反応により類似の中間状態が形成されることが観測された。さらに、反応生成物の分析から、抽出剤分子内の特定の結合が開裂する傾向が認められた。これらの結果から、抽出剤の放射線分解には規則性があり、その規則性は放射線分解直後の速い反応過程によって与えられることが明らかになった。
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