研究課題/領域番号 |
18K05006
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
金 宰煥 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 ブランケット研究開発部, 主任研究員(定常) (80613611)
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研究分担者 |
中道 勝 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 ブランケット研究開発部, グループリーダー(定常) (60343927)
宮本 光貴 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (80379693)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 再使用プロセス / プラズマ焼結法 / 回転電極法 / 酸素濃度 |
研究実績の概要 |
核融合炉ブランケットで必須な機能材である中性子増倍材は、ベリリウム金属(Be)換算で核融合炉1基当り数百トンの膨大な量が必要で4年毎のブランケット交換のため年間約200ton規模のBeを製造し続けなければならない。そして、ブランケット交換時に発生する使用済中性子増倍材には再使用可能なBeを大量に含んでいるため、そのBeを有効活用できる技術開発が必要不可欠である。 中性子増倍材であるベリリウム金属間化合物(ベリライド)は、プラズマ焼結法で始発原料製電極棒を製造し、回転電極造粒法を用いて電極棒を溶かしながら、遠心力で飛ばして、微小球を製造する。そこで脆い原料電極棒の場合、溶融部の温度分布や熱衝撃による部分的破壊などに起因し、総収率の約30%程度の歪な形の欠片が形成される。本研究では、この欠片を使用済み試料として模擬し、プラズマ焼結法と回転電極法による再使用プロセスの検討を実施した。その使用済み試料は過酷な環境で置かれ、一部酸化されることが想定されるため、各プロセスにおける酸素量の変化を調べた。約2.7%酸素を含有する100%欠片を遊星ボルミールで粉砕し、プラズマ焼結法で電極棒を製造した結果、酸素濃度(約2.5%)が若干減少したが、酸化物除去においての効果が小さいことが分かった。そこで、その電極棒を用いて回転電極法で造粒した結果、ベリライド微小球の酸素濃度は0.1%以下に激減する結果が得られた。この減少は、溶融部における温度分布による酸素の拡散や急激な蒸発に起因したと考えられる。この結果から使用済みのベリライド微小球の再使用プロセスとして、プラズマ焼結法と回転電極法での再使用プロセスは非常に有効であることを明らかにした。 次年度においては、酸素除去法の最適化研究を進めるとともに、蒸発回収法や電解分離法の検討を進める予定である。この研究で国際会議の発表1件、論文投稿中の成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度計画であるプラズマ清浄法(回転電極法も含む)による再使用プロセスの検討・検証は順調に進展し、この手法による中性子増倍材であるベリライドの再使用プロセスは有効に活用可能であることを明らかにした。但し、令和元年度には更なる最適化研究を継続して進める。また、蒸発回収法と電解分離法による再使用プロセルの検討も実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、プラズマ清浄法(回転電極法も含む)による再使用プロセスの検討・検証は順調に進展し、この手法による中性子増倍材であるベリライドの再使用プロセスは有効に活用できることを明らかにした。 令和元年度には、プラズマ清浄法による酸素除去の最適化研究を進め、データベースを構築するとともに、蒸発回収法の検討事項としては、真空圧力と蒸気圧との相関を明らかにするために、既存の装置(示差走査熱量計)に真空ニードルバルブを設置し、物理的特性評価を実施する。更に、電解分離法の予備的な検討として、Be-Li化合物や酸化物を合成し、電気・イオン伝導度の評価や安定性評価などを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度で購入予定であった蒸発回収法用の微調整バルブ及びその備品類の購入が、条件検討段階において、バルブと配管の改良が必要になり、次年度に再検討後に購入することにした。現在、予備試験での再検討を実施し、必要な部品類の仕様を選定中である。
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