研究課題/領域番号 |
18K05012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三ヶ田 均 京都大学, 工学研究科, 教授 (10239197)
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研究分担者 |
武川 順一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70463304)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 受動的地震探査 / 流体運動 / 固液連成問題 / Seismic Emission / 格子ボルツマン法 |
研究実績の概要 |
現実スケールの石油貯留層において,現実的な地動ノイズの混入する環境下で,地下に存在する貯留層構造の可視化を試みた。地下2kmに存在する貯留層内のポアスロートから発せられる弾性波を数値的に解析した。地下で流動する流体として水と油の二相流体を,流体の流動現象を解析する手法として格子ボルツマン法を,貯留層を取り巻く地下媒質として半無限弾性体を仮定した。地震波を発生させる体積力は,流体と壁面の間に発生するポアスロート壁面における垂直およびせん断応力擾乱である。発生する微小地震の地表への伝播は,それぞれのポアスロートの自由空間グリーン関数を用い,貯留層全体に分布するポアスロートからの波動の重ね合わせにより地動が発生するとした。地表に設置した複数の受振器で得られた波形データに地震波干渉法を適用し,地下の貯留層のイメージングを行なった。ている。波形データに加えた様々な振幅の白色ノイズによる取得データのS/N比が推定精度に及ぼす影響を調べ,S/N比と本手法の推定精度の関係を明らかにした。その結果,ノイズが白色という仮定の下,観測時間を増加させることにより,S/N比低下を補償することが可能であるという知見を得た。以上の知見を取りまとめた内容の論文を令和3年度に発表する予定である。 次に,地下の流体運動に圧倒的な影響を持つ地下のき裂の状況を調査する方法についても検討を行なった。地表から射出するせいぜい100Hzより低周波地震波を用いた調査では小スケールのき裂を調査することは困難であるため,削孔後の掘削孔内部での数から数10kHzの超音波を用いた調査法の有効性を確認した。その結果,掘削孔を横断するき裂について,孔井壁を伝播する波動の分散曲線がその深度を反映する,という知見を得た。この結果については,本課題提案者の関わった雑誌の特集号に論文として取りまとめ発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
成果発表では,学会発表は困難であったが,Geophysical Prospecting誌の特集号への寄稿論文として発表することができ,想定以上の結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
成果発表までの期間延長が認められたこともあり,現在の半無限均質媒質を現実的なモデルに発展させ,完全な逆伝播法の適用に手法を発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,研究成果発表が滞っただけでなく,出張費を支出することができなかったため。
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