研究課題/領域番号 |
18K05015
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
太田 靖之 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (10518450)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 太陽光‐水素製造 / 集光型太陽電池 / 固体高分子(PEM)水電解 |
研究実績の概要 |
海外高日射地域にて太陽光によりCO2フリー水素を高効率・低コストに発生して日本に輸送・消費する再生可能エネルギーシステム構築を目指して、高コストが懸念される太陽光水素生成に関する実稼働データを、宮崎大学に設置する集光太陽電池・水電解装置により取得することが本研究の要旨である。 屋外において実際の太陽光を用いた太陽光・水素製造について実証試験を行い、1日積算の太陽光エネルギーから水素エネルギーへのエネルギー変換効率においてサブキロワットスケールのシステムでは世界最高の18.78%を達成した。水素製造における水分解の駆動力(電力)として、高い光電変換効率を有するIII-V族多接合型太陽電池を用いた集光型太陽電池を用い、太陽光から水素までのエネルギー変換効率を高めた。さらに、発電量が日射量の変動によって急峻に変動する集光型太陽電池に対応したDC/DCコンバータを開発することで、1日の日射量の変動に対して高いDC/DC変換効率を達成した。本成果は、再生可能エネルギーによるCO2フリー水素を高効率で製造する実証試験である。太陽光・水素製造に関する実運用データの取得が可能であり、世界各地での気象データから太陽光水素製造量の試算を可能にし、集光型太陽電池と水電解による海外での大規模水素製造の展開の加速に寄与するものと考える。 また、水電解装置の劣化の要因を明らかにするために、水電解装置に供給する水中の不純物の影響を調査し、水素製造に使用できる水質の特定を行った。その結果、供給水中の不純物が膜電極接合体に吸着することで水電解装置の性能が低下することが分かった。また、膜電極接合体への吸着量が増加するにつれて性能低下が進んだことから、吸着量と性能低下には関係性があることが分かった。更に、Mg、Caは膜電極接合体に吸着しやすく性能低下に大きな影響を及ぼすことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
屋外において実際の太陽光を用いた太陽光・水素製造について実証試験を行い1日積算の太陽光エネルギーから水素エネルギーへのエネルギー変換効率においてサブキロワットスケールのシステムでは世界最高の18.78%を達成した。さらに、発電量が日射量の変動によって急峻に変動する集光型太陽電池に対応したDC/DCコンバータの開発を行い、1日の日射量の変動に対して高いDC/DC変換効率を達成した。 固体高分子水電解装置の劣化の要因が、Mg、Caが膜電極接合体に吸着することが要因であることを明らかにした。 以上のように,計画通りに,研究が遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築した屋外での太陽光・水素製造装置を用いて、天日下での年間実稼働データの取得を継続して行い、取得したデータから求めたシステム稼働率から精度の高いコスト試算を行う。 太陽光・水素製造装置を構成する集光型太陽電池および固体高分子水電解装置のシステム最適化設計を行い、太陽光から水素エネルギーへの変換効率の向上を行う。これまで構築した集光型太陽電池の伝熱解析モデルを用いて、集光型太陽電池の動作温度の上昇を抑制する構造を明らかにする。また、固体高分子水電解装置の詳細な動作解析を行い、水電解装置の耐久性向上を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
固体高分子水電解装置の動作解析に必要な気液分離装置の納入が、本年度中に困難なため翌年度に繰り越した。気液分離装置は発注済みのため、翌年度納入見込みである。また、購入費用も繰り越し金額で確保しているため、翌年度助成金は当初計画通り使用する。
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