研究課題/領域番号 |
18K05017
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
横山 良平 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70158385)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エネルギーシステム工学 / 分散型エネルギーシステム / 最適化 / 混合整数線形計画法 |
研究実績の概要 |
本研究では,分散型エネルギーシステムの設計を取り上げ,これまでに独自に開発した設計と運用の階層的関係を考慮した混合整数線形計画 (MILP) 法に基づく最適化手法を基盤として,最適化計算の効率化,最適化計算の機能拡張,GUIの開発および応用展開を順次進めていき,実用に耐えられる最適化手法の構築を行うことを目的とした. 令和元年度においては,最適化計算の機能拡張として,多目的最適化への適用およびK-ベスト解導出への適用について検討した.また,平成30年度に検討した最適化計算の効率化のための方策の一つであるモデル縮約手法について,さらなる効率化の可能性について検討した. まず,最適化計算の機能拡張の一つとして,多目的最適化を行えるようにし,最適化計算の効率化方策を適用することによって,実用的な計算時間内で最適解の導出を試みた.その結果,経済性および省エネルギー性の視点からパレート最適解を導出することができた.ただし,経済性よりも省エネルギー性を重視すると,最適化計算の効率化方策を適用しても計算に長時間を要すること,ならびにそれが最適化問題の性質に依存していることを明らかにすることができた.次に,最適化計算の機能拡張の一つとして,K-ベスト解(最適解に漏れなく続くK個の準最適解)を導出できるようにし,最適化計算の効率化方策を適用することによって,設計のみに関するK-ベスト解を導出することができ,その有効性を示すことができた.また,K-ベスト解に含まれる設計解の性質を明らかにすることができた.最後に,最適化計算の効率化のためのモデル縮約手法において,汎用的なk-メドイド法による期間クラスタリング,ならびに本最適化問題の性質を考慮した運用方策に基づく期間クラスタリングを適用し,それらの有効性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初令和元年度に計画していた多目的最適化への適用およびK-ベスト解導出への適用については,上述のように概ね順調に進めることができた.また,平成30年度に検討した最適化計算の効率化のための方策の一つであるモデル縮約手法については,期間クラスタリングに代替案が考えられたため,令和元年度にも継続して取組んでいく予定としていたが,上述のようにさらに2つの代替案について検討することができた.さらに,令和2年度に計画していたロバスト最適化については,極めて困難な課題であるため,平成30年度から取組み始めていたが,令和元年度にも引き続き取組み,試行計算に基づき実用的な計算の目処を付けることができた.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては,GUIの開発およびロバスト最適化への展開を行う.前者においては,通常の最適化計算を行うためのGUIとして開発した最適設計支援汎用システムOPS-Designを改良し,階層的最適化に適した最適設計のGUIを開発する.後者においては,階層的最適化のMILPモデルに基づくロバスト最適設計への応用展開の可能性を検討し,次期の研究に繋ぐことを目指す.なお,ロバスト最適化においては,階層的最適化における計算負荷が極めて大きくなると予想されるため,当初は使用する予定がなかったMILP法のソルバーGUROBIをこれまで使用してきたCPLEXに加えて使用することを試みる.そのため,GUROBIを使用するために必要な階層的最適化のソフトウェアを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画において予定していた外国旅費の支出を他の財源によって行い,余りが生じたため,次年度の研究費とともに使用する.令和2年度に計画していたロバスト最適化においては,階層的最適化における計算負荷が極めて大きくなると予想されるため,当初は使用する予定がなかったMILP法のソルバーGUROBIをこれまで使用してきたCPLEXに加えて使用することを試みる.助成金の使用変更によって,GUROBIを使用するためのインタフェース用ソフトウェアを購入する予定である.
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