研究課題/領域番号 |
18K05018
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
堂脇 清志 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (50339115)
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研究分担者 |
徐 維那 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 助教 (10598767) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HAS-Clay / 鹿沼土 / LCA / 吸着剤 |
研究実績の概要 |
本年度は、主に①実験によるHAS-Clayによる吸着試験性能の把握、及び②各吸着物質のLCAのインパクト指標の開発とBio-H2に対するLCA指標の開発を実施した。 まず、①については、既設の試験装置をを用いて、HClやNH3の吸着試験を実施した。ここで対象としている吸着剤は、アロフェンを含む人工合成物のHAS-Clayと天然物の鹿沼土とし、吸着温度を100℃~200℃及び常圧の条件で吸着試験をを行った。この結果、鹿沼土では、2.0~7.2g-Cl/100g-adsorbentとなり、吸着温度の上昇と共に吸着能力も向上するという知見を得た。また、HAS-Clayについては、7.1~1.7g-Cl/100g-adsorbentとなり、温度上昇に伴い吸着性能が低下するという知見を得た。また、NH3については、HAS-Clayのみ試験を行った。この結果、30℃~90℃で試験を行った結果、低温の方が有利であり、1.5~1.0g-Cl/100g-adsorbentとなり、Zeolite A5(文献値)と比較しても優れていることが分かった。 次に、LCAによる環境影響指標による設計を行うことを目的に、吸着剤のインパクト指標について分析を行った。この結果、例えば、温暖化指数であるGWPについては、HAS-Clay、Zeolite及び鹿沼土は、17.142、2.352、0.004kg-CO2eq./kg-adsorbentとなった。この結果から、吸着性能が高い、あるいは物理吸着のように複数回使用できる方がGWPの影響が少なくなることが示唆された。これをもとに予備試験を行い、HClについては再生可能であるという可能性があることが示唆されたが、NH3については再生可能ができない可能性があるという知見が得られている。このことについては、次年度に吸着能力について検討を行うこととしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、基礎データ取得のための吸着試験については、既設の試験装置があり、研究実施においては、標準ガス等の購入が主なものである。また、次年度以降についても、既設の試験装置を改良のもと、不純物を含む合成ガス(標準ガス)を利用し、水素精製まで行うことを行う予定であるが、改良についてはほぼ終了し、現在、ブランクテストを実施している。なお、標準ガスの消費量が予想以上に大きいもののおおむね購入スケジュールを勘案し吸着試験が実施できてる見通しが立っている。またソフト面においては、研究実施内容の吸着試験をベースにした水素精製シミュレーションの開発を行う体制が整っており、吸着シミュレーションを組み合わせたバイオマスガス化プラントによる性能評価についても、定常状態における分析は既に実施している。 次に、各吸着物質のLCAのインパクト指標の開発とBio-H2に対するLCA指標の開発は既に修了しており、及びアプリケーションを想定してエクセルギー単位におけるLCA評価についても、ほぼ検討方法は確立している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度については、LCA指標の結果、HAS-Clayの吸着性能が優れるものの影響が大きいため、再生可能の可能性について吸着試験を検討する。また、吸着剤の使用量削減を目的に、H2SやHCl及びNH3の同時吸着の可能性を検討する。一方、水素精製システムの定常性能を把握するため、静的プロセスシミュレータAspenPlusによるモデル化は終了している。これをもとに、動的な性能を把握するため、動的プロセスシミュレータgPROMsを利用したモデル開発を行う。また、最終的には合成ガス(標準ガス)から吸着剤による除去を行い、水素貯蔵までの一連のシステムによる試験を行い、シミュレータによる結果と比較検討を行いたいため、引き続き、実験装置の整備を行うこととしたい。但し、複数の不純物のサンプルガスについては、費用面及び安全面から困難なため、各不純物の試験結果、あるいは影響のある不純物に焦点を当てた試験創始の整備を行うととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は実験整備費不足を懸念し、論文投稿や学会発表については、学内予算で充当していたが、吸着剤のサンプルが無償で提供があったことに加え、実験装置については、当初の想定よりも安価で部品等が整備することができたため余剰が生じた。なお、次年度については、実験用サンプルガスが比較的多く使うことが想定されるため、繰り越し分については、その費用に充てる予定である。
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