研究課題/領域番号 |
18K05020
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
竹原 真美 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (70792448)
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研究分担者 |
福山 繭子 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (40630687)
外田 智千 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (60370095)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジルコン / 産業廃棄物処理 / 放射性同位体 / 熱水変質作用 / ウラン-鉛年代 / 高感度高分解能イオンマイクロプローブ |
研究実績の概要 |
本研究では,地球表層環境におけるジルコニウムの挙動を評価するためのジルコン・インデックスの開発を目的としている. ジルコン中の極微量元素含有量分析手法開発を行った.低質量数側磁場安定のための磁場制御装置のスペアを一定期間オーストラリア国立大学より借用することが可能となったため,それらを高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)に設置し,ジルコン中の低質量数側(Li)から高質量数側(Zr)までの含有量分析手法開発を行った.この際,同時に東南極ナピア岩体の微量元素含有量分析を行い,結果を地球化学会年会において報告した. 熱水変質作用を受けた形跡のある岩石試料(アメリカ合衆国ミネソタ州ダルース複合岩体の斑れい岩質斜長岩及びガボン共和国オクロ地域北部Bidodouma streamに産する珪長質凝灰岩)について解析を進めた.鉱物分離作業を行い,分離されたジルコン粒子の低真空走査型電子顕微鏡による詳細な観察及びSHRIMP分析試料ディスク作製を行った.この際,表面精密研磨用ジグを開発,作製し,分析用試料ディスク作製に用いることで,より精密な研磨量のコントロールと平坦な研磨面を得ることが可能となった.熱水変質作用ジルコンの湿式化学分析についての試料選定及び打ち合わせを行った. 西南日本飛騨変成帯(岐阜県)の打保岩体にて,野外地質調査とサンプリングを行った採集した岩石試料の初期記載及び鉱物分離を行った.また,飛騨変成帯の神岡地域から採集された岩石試料のジルコンを対象としてSHRIMPによる分析を行い,成果を国際誌へ発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は野外調査,試料採集と選定,予備実験及びテスト分析を中心に行い,分析手法と得られたデータの解析が進んだ.今後,追加の試料採集が必要となるが,採集地点等はこれまでの野外調査データに基づき,決定している.
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今後の研究の推進方策 |
前年度開発した手法に基づき,熱水変質作用を受けた痕跡のある試料である,アメリカ合衆国ミネソタ州ダルース複合岩体の斜長岩及びガボン共和国オクロ地域北部Bidodouma streamに産する珪長質凝灰岩に含まれるジルコンのSHRIMPを用いた微量元素含有量分析を行う.ダルース複合岩体の斜長岩中のジルコンを対象に,湿式化学分析を行う. 西南日本飛騨変成帯(岐阜県)の打保花崗岩体及び周辺地域への野外調査と追加の試料採集を行う.前年度に鉱物分離済みの試料を用いて,SHRIMP分析用試料ディスクを作製する.岩石試料の全岩化学組成(主要元素及び微量元素組成)の分析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった,高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)専用低質量数側磁場制御装置をオーストラリア国立大学より一定期間借用可能となったため残額が発生したが,この差額の一部は,精密研磨用ジグの開発及び作製費用とSHRIMP分析消耗品等に使用した. 平成30年度に3回計画していた西南日本飛騨変成帯の野外地質調査及び試料採集の回数を減少させたため,旅費分の金額が残額となった.残額は次年度の野外調査及び試料採集の旅費に使用する計画である.
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