研究成果の概要 |
超多次元系であるナノ物質の分子運動や化学反応の機構解明を実現する手法を開拓した. まずは高速かつ数値的に安定な非断熱動力学法を開発し, 小分子の反応(二酸化炭素二量体カチオンの可視光解離)に適用して有用性を確認した. これを使って人工分子モーターの光異性化経路を探索し, 数ピコ秒という短時間で異性化が起こる経路が見出された. さらに, X線自由電子レーザーを用いたナノ分子のイメージング法も提案した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
新規な動的機能を発現する分子の創製およびその制御はナノテクノロジーの中心的課題であり, 人工分子マシンやフラーレンは機能性ナノ分子の代表例と言える. 特に, 分子マシンの一種である分子モーターは実用化に向けた発展が望まれているが, 既存の分子モーターは光異性化の量子収率(光のエネルギーを内部回転に変換する効率)が低い. 本研究の成果は分子モーターの詳細な異性化反応機構を明らかにし, 高収率かつ高速回転可能な分子モーターの設計に寄与するものである.
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