溶液内擬縮退系の化学現象を解明する手法を提供するため,大規模分子の複雑な電子状態計算を念頭に置いた多配置理論の開発,溶液内擬縮退系のための積分方程式理論の開発を行い,これらを総合して用いることにより,生体系や金属系などの溶液中の化学現象に適用した。主な項目は,MCSCF法の新たな活性空間GORMAS,Douglas-Kroll法の相対論的二電子反発演算子,状態平均MCSCF法の(3D-)RISM-SCFへの実装,線形補正を利用した3D-RISM-SCF理論によるpKa値,RISM理論の溶媒和自由エネルギーに対する分子配向相関の影響,共溶媒中のタンパク質の大きな構造変化の記述法,等である。
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