本研究では、申請者が開発してきた陽電子化合物に対する理論手法をさらに発展・深化させ、陽電子対消滅スペクトルを帰属可能な解析手法を確立することにより、これまで起源が不明であった多原子分子への陽電子吸着状態を解明することを目的に研究を行った。この目的のため(1)量子多体効果を高精度に取り込むためにbackflow変換を導入した新規確率論的非調和振動状態理論を開発・実装し、(2)振動励起状態における陽電子吸着能の精密計算法の開発を行うことで、これまで帰属されていなかった多原子分子の陽電子対消滅スペクトルに対する非経験的な帰属を実現した。
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