研究課題/領域番号 |
18K05050
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研究機関 | 公益財団法人レーザー技術総合研究所 |
研究代表者 |
谷口 誠治 公益財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ化学研究チーム, 副主任研究員 (00342725)
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研究分担者 |
田中 文夫 公益財団法人レーザー技術総合研究所, 研究部, 特別研究員1 (20022907)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フェムト秒時間分解蛍光計測 / フェレドキシン:NADP+還元酵素 / サイクリック電子電子伝達反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、分子動力学法を用いたフェレドキシン:NADP+還元酵素(FNR)の蛋白構造の予測、およびFNR溶液のフェムト秒領域での超高速時間分解蛍光計測法を用いた光誘起電子移動過程の観測を行い、液相中におけるFNRの蛋白構造、および構造異性体の有無などについて理論的、実験的に検証するとともに、異なる種のFNRやFNR-フェレドキシン(Fd)錯体についても同様に検討を行い、フェレドキシンとの相互作用に伴うFNRの蛋白構造変化などについて検証する。得られた結果から、(サイクリック)電子伝達反応に対するFNRの蛋白構造因子の関与について新たな知見を得ることを目的とする。初年度は、蛍光分光計測によるトウモロコシ葉由来FNRの蛍光スペクトルの分析を行うとともに、フェムト秒時間分解蛍光の計測を試みた。しかしながら、自作した計測システムのうちレーザー装置(フェムト秒チタン-サファイアレーザー)および計測機器(光電圧A/D変換システム)の故障が発生したことから、十分な計測結果は得られなかった。このため本年度は、レーザーの修理、および計測機器の再構築を行うとともに、フラビン酵素(2-pyranose oxidase)を用いて計測システムの動作試験を行った。また、FNRの液中蛋白構造について、MDおよび分子軌道計算による分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フェムト秒時間分解蛍光を計測するために自作した計測システムのうち、光源に用いているレーザー装置(Ti: sapphire レーザー)および計測機器が故障したことから、レーザー修理および計測システムの再構築、計測システムの動作検証試験に時間を要したため、当初予定していた2種のFNRのフェムト秒蛍光計測を行うことができなかった。計測システムの修理が完了したため、今後計測実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
X線構造解析により結晶状態での立体構造が明らかとなっているトウモロコシ葉由来FNR、ホウレン草由来FNRの2種について検討する。FADのごく近傍に還元力を持つTyrおよびTrpが配置されており、FADの光励起により数100fsの超高速電子移動が起こるものと予測される。このため蛋白構造の揺らぎや溶媒和の影響はないものと考えられるが、観測波長効果の計測によりそれらの影響ついても検討する。実験および計算から得られた蛋白構造はそれぞれの結晶構造と比較し、液相中での蛋白構造についての詳細な知見を得る。次にトウモロコシ葉由来FNRの3種のアイソザイムについて同様の研究を行う。これにより、 b6fと結合するFNRと、単独で浮遊FNRの蛋白構造変化について知見を得ることにより、それぞれの機能性の違いについて分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
フェムト秒蛍光計測システムの故障により、レーザー装置の修理および計測システムの再構築、動作検証試験を行ったため、フェムト秒蛍光計測に必要な分量の試料(フェレドキシン:NADP+還元酵素)および調整用試薬、学会参加旅費など当初予定していた費用を取りやめたため。計測システムの再構築を完了したため、次年度使用額は昨年予定していた酵素試料および調整用試薬の購入、および学会参加旅費に充てることを予定している。
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