研究課題
基盤研究(C)
本研究では、光学活性な相補的二重らせん分子が創出するキラルな空間にアキラルな二官能性の有機分子触媒部位を導入することで、二重らせん分子がシクロヘキサノンとp-ニトロベンズアルデヒドの直接アルドール反応に対する不斉触媒として十分に機能することを初めて実証するとともに、キラルアミンによって一方向巻きに片寄った二重らせん骨格に導入したアントラセン誘導体の高不斉選択的光二量化反応 (98% ee) にも成功した。
超分子化学
DNAのらせんキラリティを巧みに活用したハイブリッド不斉触媒の報告例はあるものの、人工二重らせんを基盤とする超分子不斉触媒や二重らせんのキラル空間に由来する不斉反応の開発に関する研究例は、研究代表者の報告以外にはほとんどない。すなわち、本研究成果は、キラルならせんが創出する空間が不斉選択性の発現に極めて重要であることを実証するだけではなく、既存の方法では実現が困難な不斉反応の開拓にも繋がり、その学術的・社会的意義は極めて大きい。