研究実績の概要 |
分子状のMoやW酸化物であるポリオキソメタレートについて、電子状態の異なる複数のクラスターからなる混晶を作製し、組成比に応じてマクロスコピックな性質が変わるような系を実現する。固体中のポリオキソメタレートの対カチオンとなる無機イオンや有機カチオンに取り囲まれており、カチオンの大きさ・価数・酸化還元活性などをパラメーターとして様々な結晶性試料を調整し、溶解性・酸化還元活性・電気伝導性・誘電性を表す物性値を組成比でプロットした状態図を作製する。得られた結果を基に、不均一触媒・固相電解質・電池材料・エレクトロニクス材料としてのパフォーマンスの向上や新奇性を開拓する研究を展開する。 本研究では、混合比に応じてマクロスコピックな固体の性質・物性として溶解性・酸化還元活性・電気伝導性・誘電性が変化するような系を実現する。これらの性質は、固体としての触媒活性、エレクトロクロミズム、イオン伝導、電子伝導、誘電分極の物性・機能に直結する。特にこれを、ヘテロ原子をS(VI), P(V), Si(IV), B(III) 、骨格金属種Mo(V/VI)をW(V/VI) と替えることでケギン型クラスターを用いた4×2の“周期率”に対応した超原子を対象とする。 二種類のクラスターAとBを混合し、作製した結晶性試料について混合状態を明らかにし、物性評価から状態図を作製することを目指す。これまでDMFを用いることでTPA(テトラプロピルアンモニウム)をカチオンとした[PMoVMoVI11O40]4-と [SiMoVI12O40]4-の混晶化に成功し、その電気伝導度が組成比に依存する予備成果を得た。この系を用いて上記目的の研究を行った。
|