蓄積電荷測定法(ACM)は、電極1(M1)、絶縁体(Ins)、有機半導体(OS)、電極2(M2)からなるMIOM接合の電子構造を調べる実験手法である。この手法は申請者が2016年度に初めて報告した。本研究は、この手法を実験、理論の双方で発展させることを目的とした。申請者はMIOM接合における電荷抽出プロセスには、熱平衡(TE)型と非熱平衡(NTE)型の両方があることを明らかにした。前者では電荷の抽出はIns/OS界面とOS/M2界面の両方で同時に起こる。一方で後者ではOS/M2界面での抽出が終わった後で、Ins/OS界面での電荷抽出が起こる。ACMの実験ではNTE型の電荷抽出の方が都合が良い。
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