研究課題/領域番号 |
18K05068
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宇田 亮子 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90321463)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光応答 / DNA / 膜 / 吸着 |
研究実績の概要 |
近年DNAを基板やナノ粒子に固定させ、マイクロアレイや電界効果トランジスタ、さらにはラボオンチップに展開しようという動きが盛んである。いずれもDNAを微小な領域に固定化しなければならず、これが重要かつ難しいステップだとされており、それらを解決すべく複雑な材料や多段階プロセスに加え専用装置が提案されている。一方で、今後新たな技術が着想されたとき、DNA固定化に大きな課題があると開発に二の足を踏む原因になるとも言える。そこで本研究は、光でカチオンとなるユニークな性質を持つマラカイトグリーン誘導体を用い、シンプルで柔軟性の高いDNA固定化法を構築することを目的としている。DNAは負に帯電しており光未照射時の基板上マラカイトグリーンとは結合しないが、光照射後はマラカイトグリーンがカチオンとなるためDNAと結合し固定化すると期待できる。本研究のDNA光固定化法を用いることで、バイオチップなどの迅速な作製・研究室レベルでの自由度の高い展開が可能と考えられる。H30年度はマラカイトグリーン誘導体を合成し、ポリ塩化ビニルに含有させガラス基板にキャストすることでマラカイトグリーン複合膜を作製した。これにウシ胸腺由来のDNA(calf thymus DNA)を添加し、2本鎖DNAの光固定化を試みた。DNA標識試薬からの蛍光強度とエリア面積を蛍光顕微鏡にて測定したが、蛍光強度が低く固定化DNAを定量することはできなかった。結合メカニズムについて知見を得るためにcalf thymus DNA吸着後の複合膜のCDスペクトルを測定したが、有意義なシグナルが得られなかった。そこで1本鎖DNAを用いることとし、モデルとしてd[T50]を用い固定化を行ったところ、10 pmol/cm2程度の密度で膜に吸着していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度には「1.マラカイトグリーン誘導体の合成と複合膜の作製」「2.固定化2本鎖DNAの定量」を行う計画であった。このうち1.は順調に進められたが、2.については固定化2本鎖DNA濃度が予想より低く定量することができなかった。このためH31年度やH32年度に行う予定であった「固定化の結合様式の解明」や「1本鎖DNAの固定化」に先行して着手しており、総じておおむね順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度に固定化と定量に成功したDNAは1種類の1本鎖DNAだけであるため、今後は塩基配列や長さを変えたDNAの固定化について検討を行う。併せて、カチオン性界面活性剤である塩化セチルトリメチルアンモニウムをマラカイトグリーン誘導体の代わりに加えた複合膜を作製し、その固定化量から結合メカニズムについての知見を得る。更には、基板上1本鎖DNAのハイブリダイゼーションを進めてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要で記載したように、2本鎖DNAの固定化定量がうまく行えなかったため、1本鎖DNAの固定化定量を行った。1本鎖と2本鎖DNAでは試薬コストが異なり、それが次年度使用に反映されたと考えられる。この使用額は、1本鎖DNAや蛍光ラベル化剤の購入に充てる予定である。
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