研究課題
本研究では、ホタルとウミホタルの生物発光系を対象に、3つの鍵反応過程(①酸素化、②化学励起、③発光色制御)の反応機構を解明し、生物発光の高性能化要因を明らかにすることを目指してきた。①酸素化過程については、ホタルとウミホタルの両方の発光基質誘導体の電子供与性に着目し、酸素分子と同様の酸化力と反応性を持つ電子受容性化合物との分子間反応性を検討し、酸素化モデル反応となる付加反応を見出し、反応機構基盤を確立した。酸素化反応に関わる反応中間体の物性と反応性の相関を解明すると共に、各種中間体のDFT計算で得た電子的性質からも相関を裏付けた。結果の学術論文報告の準備を進めている。②化学励起過程では、ウミホタル発光系に関わるルシフェリン誘導体を用いて、嵩高い置換基導入による化学発光量子収率への影響を調べ、量子収率の構成因子を解析して化学励起効率がルシフェリン母骨格の特定の位置での置換基の立体効果を受けることを見出した。DFT計算より、立体効果による中間体配座と分解遷移状態の電子的性質変化を確認し、反応機構提案の基盤を固めた。③発光色制御機構では、ホタル発光系にて検討を進め、発光体オキシルシフェリンの分子構造と分光学的性質の相関を明らかにし、学術論文に報告準備中である。さらに、種々の置換基を有するアミノ置換ルシフェリンアナログを用いて酵素ルシフェラーゼ内の分子環境が及ぼす発光体の励起状態の安定性変化について知見を得た。この成果を基に、アナログと種々のルシフェラーゼを組合わせた発光特性評価を進めることで、発光分析応用に適したアナログと酵素の組み合わせを見出し、国際共同研究による成果報告を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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