研究課題
本研究課題は2018年から2021年末の予定であった。しかしコロナ流行もあり思うように研究が進展しない部分もあり、最終的には2年延長して頂き2023年3月終了となった。最終年度はフェナントロリン骨格を組み込んだフタロシアニン誘導体を合成し、無金属体は芳香族、ニッケル挿入体は反芳香族化合物であることを証明した。またアズレン骨格を2つ導入した環状化合物は還元前後で共に反芳香族であるが、還元後2つの可能性のある構造から分光学的特性をもとに1つに絞ることができた。ポルフィリンを2つ用いたグルタル酸、イソフタル酸センサーを報告した。これらの分子存在下ではポルフィリンの色が変わり、目で直にそれらの存在を確認することができた。また5員環を4つ含み環状である化合物の反芳香族性を分光学的に証明した。研究期間全体を通して、主に機能性フタロシアニン、ポルフィリンに関した化合物を合成、特性化してその成果を37報の原著論文、4報の総説、1つの本に纏めて出版した。近年研究が盛んになってきた反芳香族分子に関する報告が5報、またBODIPYや環拡大ポルフィリンなどで超波長領域に吸収を有し、癌の光化学治療などへの応用に使えそうな分子も幾つか報告した。特に近赤外領域に吸収をもつ化合物として、ピロールが環状に9個連結した化合物は1600-1800nmに主吸収を示した。共著の論文も数多くあったが、私の研究室では分光学的に化合物を特製化する仕事がメインであった。それに分子軌道計算など、多くの理論計算も行った。5年間に化学分野でレベルが高いと評価されるJACS, Angew. Chem., Nat. Commun.の雑誌に5報発表することができた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
Angewandte Chemie, International Edition
巻: 61 ページ: -
10.1002/anie.202115316
Organic Letters
巻: 24 ページ: 234-239
10.1021/acs.orglett.1c03882
Bulletin of the Chemical Society of Japan
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10.1246/bcsj.20220152
巻: 95 ページ: 1428-1437
10.1246/bcsj.20220195