研究課題/領域番号 |
18K05086
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森 重樹 愛媛大学, 学術支援センター, 助教 (30572028)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 二環性骨格 / ポルフィリン / 希土類金属錯体 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、二環性骨格の構造と反応性に着目し三次元的に特徴を持ったpi共役化合物の構築と、その構造的特徴を活かした機能探索、および構築された化合物を配位子とした新規金属錯体の合成と物性発現である。 二環性骨格は適度な構造剛直性を有しているため、連結部位として複数個、分子に組み込んだ場合、形・大きさの規定された空間が形成されることとなり、超分子化学相互作用による曲面化合物の識別・分離を検討した。他方、二環性骨格自体の嵩高さゆえに可溶性置換基として捉え、望みの化合物の前駆体を合成したのちペリ環状反応による共役拡張化合物の高純度合成、それらを配位子とし希土類金属との錯化を鍵とした積層型金属錯体の効率的構築を検討した。以下に今年度の成果を挙げる。 1) 二環性骨格を組み込んだ分子ピンセットに関しては、キラル架橋型ポルフィリン二量体(クリセン型架橋)について論文として発表した。これまで主として研究してきたビシクロ[2.2.2]オクタジエン(BCOD)だけでなく、ノルボルナジエンとのハイブリッド型架橋部位の合成手法の探索を行った。 2) ベンゾ縮環部位を1-4個有するベンゾポルフィリンを配位子としたLa,Tb三層型錯体の合成と構造について書籍の1節として発表した。ポルフィリン二量体を配位子とする積層型金属錯体の効率的合成を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の鍵分子の1つであるジエタノクリセン、二環性骨格をノルボルナジエンに替えたジメタノクリセンの合成法を確立し、ジエタノクリセンを基点としたキラル架橋型ポルフィリン二量体の構築、そのポルフィリン二量体のフラーレンC60,C70に対する包摂挙動の検討の成果を論文として発表することが出来た。(掲載は2019年4月) 積層型金属錯体に関しては、ポルフィリン単量体を配位子とした錯体の合成と性質解明に関しての成果を、書籍として発表することが出来た。(出版は2018年12月)
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、二環性骨格としてこれまで主として用いてきたBCODだけでなく、ノルボルナジエンを架橋部位としたポルフィリン二量体の合成法を確立させる。また、積層型錯体については、ポルフィリン二量体を配位子とした錯体の基本的性質を明らかにしていく予定である。合成手法の確立が最優先事項であるが、それと同時に物性解明を進め、磁性評価などは共同研究者を通じて検討していく予定である。
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