炭素-フッ素結合は安定な結合であるため、これを切断するには加熱などの過酷な条件が必要であった。これに対して本研究課題では、金属を用いるβ-フッ素脱離や酸を用いるHF脱離を鍵とする種々のC-F結合活性化法を開発してきた。これらの反応はいずれも、穏和な反応条件下でC-F結合を切断するだけでなく、複雑な骨格を持つ含フッ素化合物の構築法となった。このことは、学術的に意義深い革新的なC-F結合活性化法を提供できたと考えている。また、複数のフッ素を持つ基質の選択的なC-F結合活性化により、医農薬や材料として有望な含フッ素化合物を効率的に合成できたため、今後の応用研究にこれらを供給できる。
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