研究課題/領域番号 |
18K05119
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
南部 寿則 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (80399956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インドールアルカロイド / C-H挿入反応 / ジアゾ化合物 / ロジウム触媒 / 多置換インドール / 第一級C-H結合 / 全合成 / herbindole |
研究実績の概要 |
インドールアルカロイド類は多岐にわたる生物活性を持つことから,医薬品開発において注目されている化合物群である。それゆえ,インドールアルカロイド類およびその誘導体を効率よく網羅的に合成できれば,医薬品開発における構造活性相関研究に活かせる有益な方法を提供できる。本研究では,研究代表者が最近開発したエナミノン構造をもつテトラヒドロインドール-4-オンの位置選択的アルキル化による多置換インドールの網羅的合成法を用いて,aspidospermaアルカロイド類,herbindole 類およびtrikentrin類の全合成を行う。これらの合成法では,鍵工程であるテトラヒドロインドール-4-オンの位置選択的アルキル化の際に様々な置換基を導入することができるため,類縁天然物や誘導体が簡便かつ網羅的に合成できる。また,aspidospermaアルカロイド類の合成では位置選択的アルキル化の不斉化を,herbindole 類の合成では不斉C-H挿入反応を検討し,これらアルカロイドの不斉全合成も行う。 今年度は,herbindole 類およびtrikentrin類の共通部分構造であるシクロペンテン部の構築に必要なRh(II)触媒C-H挿入反応を検討した。モデル基質として単純な構造をもつアリールジアゾアセタートを調製し,様々なRh(II)触媒を用いて検討した結果,第一級C-H結合への挿入反応が速やかに進行し,目的の1,3-二置換シクロペンテン誘導体がシス選択的に得られることが分かった。さらに,嵩高い配位子をもつRh(II)触媒Rh(OCOCPh3)4を用いると,シス体のみが高収率で得られることを見出した。今後,この反応を鍵工程とするherbindole 類およびtrikentrin類の全合成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに,Herbindole 類およびtrikentrin類の全合成に必要な第一級C-H結合への挿入反応の開発に成功したため,おおむね順調に進展している。しかし,このC-H挿入反応の基質であるアリールジアゾアセタートについて,嵩高い置換基をもつものは合成が難しいことが分かったことから,全合成での利用時にジアゾ化合物への変換が困難となることも考えられる。全合成達成に向けて,考慮すべき問題であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
Herbindole 類およびtrikentrin類の全合成に用いる第一級C-H結合への挿入反応について,基質であるアリールジアゾアセタートの調製に解決すべき課題が生じたため,新たに調製しやすいロジウムカルベノイド前駆体を用いる必要が生じた。その解決策の一つとして,トリアゾール誘導体からのロジウムカルベノイド生成を利用する第一級C-H結合への挿入反応の検討を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
Herbindole 類およびtrikentrin類の全合成研究に向けて,新たにトリアゾール誘導体をロジウムカルベノイド前駆体として用いる第一級C-H結合への挿入反応を検討する必要が生じた。そのため,平成31年度の当初に,新たにトリアゾール誘導体を合成するための試薬および実験に必要な消耗品を購入する計画である。
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