研究課題/領域番号 |
18K05124
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
南川 慶二 徳島大学, 教養教育院, 教授 (70250959)
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研究分担者 |
今田 泰嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (60183191)
荒川 幸弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (70709203)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / フラビニウム塩 / 酸素酸化反応 / 過酸化水素酸化反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、独自に開発した安全・安価・簡便なカチオン性フラビン触媒調製法で各種レジン担持アロキサジン型フラビン触媒を合成し、酸化触媒としての有用性・実用性を明らかにすることを目的としている。具体的には、①酸素酸化生成法及びレジン担持精製法によるレジン担持アロキサジン型フラビン触媒All+・resin-合成法の確立、②All+・resin-を用いるメタルフリー触媒的酸化反応の開発と効率的な触媒再利用性の実証、③All+・resin-を用いるフロー系で反応系での酸化反応の開発を目標とし、All+・resin-の実用化を目指す。 ①レジン担持イソアロキサジン型フラビン触媒i-All+・resin-の合成法の研究で得られた知見に基づき、中性フラビンのN5位の還元的アルキル化法、酸素酸化法、レジン担持精製法を各種置換基を有するアロキサジンに適用し、All+・resin-の一般的合成法として利用可能であることを明らかにした。特に、高い触媒活性が期待されながら従来法ではその不安定性から合成が困難であった電子吸引性置換基を有するアロキサジン型フラビン触媒を簡便で効率的に合成することができた。 ②③All・resin-の触媒作用を検討し、スルフィドの過酸化水素酸化反応、シクロブタノンの過酸化水素Baeyer-Villiger酸化反応が効率よく進行することを明らかにした。回収再利用については検討が必要であるが、これらの反応ではAll+が反応終了後もレジン上に担持されていることを確認している。 当初の計画には含まれていないが、i-All+・resin-合成法の検討から、安定で取り扱いの容易な4a-ヒドロキシ置換イソアロキサジン触媒i-All-4a-OHの一般的で簡便な合成法を開発した。また、i-All-4a-OHの触媒活性を詳細に検討し、i-All+・resin-と同等の活性を持つことを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アロキサジン骨格上に各種置換基を有するレジン担持アロキサジン型フラビン触媒の合成を達成する【①】とともに、合成したレジン担持型アロキサジン型フラビン触媒の高い触媒活性【②】を確認している。All+・resin-の回収再利用は達成していないが、再利用の可能性を示す知見を得ており、当初の計画に対しておおむね順調に進展していると判断した。All+・resin-の回収再利用の検討およびフロー反応への展開【③】については次年度以降の検討課題とする。 当初の計画にはなかった、4a-ヒドロキシ置換イソアロキサジン触媒i-All-4a-OHの一般的で簡便な合成法を開発しており、各種置換基を有するi-All-4a-OHの合成、電子状態と触媒活性の相関および新規触媒反応の開発については次年度以降引き続き検討する。
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今後の研究の推進方策 |
① All+・resin-の合成法を確立し、その触媒活性についても実証することができた。次年度以降はこれまでに合成を達成したAll+・resin-に加えて、高い触媒活性が期待できる多様な置換基を導入したAll+・resin-を設計・合成し、All+・resin-ならではの新規酸化触媒反応の開発へと展開する。 ②本年度の研究では達成できなかったAll+・resin-の回収再利用に関して次年度以降も検討する。必要に応じて、アロキサジン骨格上に置換基を導入し、新規All+・resin-を設計・合成する。 本年度の研究でその一般的合成法を確立したi-All-4a-OHについて、イソアロキサジン環上に各種置換基を有するi-All-4a-OHを設計・合成し、電子状態と触媒活性の相関および新規触媒反応の開発について、次年度以降引き続き検討する。 ③フロー反応系での酸化反応の開発を達成目標とし、フラビン触媒をレジン上に強固に担持したi-All+・resin-およびAll+・resin-を合成し、その触媒活性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:3月中旬に実施した研究成果発表の旅費精算手続きが完了していないため。 使用計画:旅費の支払いが4月に完了する予定である。
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