本研究では、「安定で官能基変換の難しいアミド基を自在に操れるか」という有機合成化学上の難問に挑戦した。アミド基への求核付加反応は、多官能基化された含窒素化合物を即座に与えるため、天然物合成・創薬合成を指向した複雑な分子の革新的反応となる可能性を秘めている。しかし、アミド基への求核付加反応は、アミド基自体の高い安定性のために開発が難しく、長年見過ごされてきた。本研究において、環状ニトロンの精密合成を可能とし、複雑な多環性構造を有する生物活性化合物の実用的な供給法が開発された。また、本ニトロン合成法は、アゾメチンイリドなど、様々な1,3-双極子の合成へと展開し、一般性の高い方法論へと拡張できた。
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