| 研究実績の概要 |
本年度は主に下記の研究を行った。
１）結晶構造解析に成功したピリジルメチル基をサイドアームに有する二核化配位子（bpmp）の二核コバルト(III)ペルオキソ錯体[Co2(bpmp)(PhCO2)]2+ の外部基質に対する酸化反応性を検討した。xantheneや1-benzyl-1,4-dihydronicotinamideおよびbenzaldehydeに対して酸化反応性を有することが分かった。このことから，このペルオキソ錯体は可逆的な酸素分子の吸脱着能だけでなく，弱いC-H結合の酸化能や求核的反応性を有することが明らかとなった。
２）6-メチルピリジル基をサイドアームに有する二核化配位子 (Me4-tpdp) を含むトリフェニル酢酸架橋の二核鉄(III)ペルオキソ錯体[Fe2(Me4-tpdp)(Ph3CCO2)]2+の外部基質との反応を速度論的に調べた。その結果，DHAのC-H結合の酸化がミカエリスメンテン型で進行することが分かった。
３）立体的に嵩高いジフェニルイミダゾリル基をサイドアームに有する二核化配位子（Ph-bpmp）の二核鉄(III)ペルオキソ錯体 [Fe2(Ph-bpmp)(PhCO2)]2+ の外部基質に対する酸化反応性を引き続き検討した。xantheneのC-H結合の酸化およびthioanisoleの酸化がミカエリスメンテン型で進行することを速度論的研究により明らかにした。したがって，このペルオキソ錯体はヘムエリスリンに類似した可逆的な酸素分子の吸脱着能だけでなく，外部基質を酸化する能力を併せ持つことが明らかとなった。
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