研究課題/領域番号 |
18K05153
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
堀 顕子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90433713)
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研究分担者 |
ジェズニチカ イザベラ 芝浦工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40565769)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無機化学 / ホストーゲスト / 分子認識 / カチオン-パイ相互作用 / 四重極モーメント / ガス吸着 / 蒸気吸着 / 結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
分子包接現象や吸着分離材料において、分子サイズが近く、無極性を含む極性が類似した化合物の分離は未だ困難であり、工業的な分離法の確立が要請されている。本研究では、フッ素置換に基づく四重極モーメントの認識効果に着目し、金属錯体の配位子部分に芳香族フッ素(C6F5基やC6F4部位)を導入することで、一般的な金属錯体と正反対の「正の四重極モーメント」を誘起したホスト分子の設計とその分子性結晶を用いた分子認識機能を調べた。 その結果、フッ素置換した各種単核及び二核金属錯体の合成研究及びその物性評価において、明確な「負の四重極モーメント」を持つゲスト化合物への親和性を見出すことに成功した。類似の構造を持つフッ素化していない金属錯体や部分フッ素化した金属錯体では、このような分子認識挙動は見られずフッ素の特異な分子認識挙動を明らかにすることができた。また、結晶配置における四重極モーメントの影響や金属イオンの表面静電ポテンシャルのスイッチングを明らかにした。特にフッ素化合物の結晶構造解析やHirshfeld表面分析、DFT計算から実際の表面電荷密度と四重極モーメントを明らかにすることで、より安定かつ包接量の多いホスト材料の合成が可能になり、今後の分子設計指針を得ることができた。ガス及び蒸気吸着測定についても選択性が十分に期待できる成果が得られているが、分離においては温度制御を含め、今後の更なる実験が必要である。また、三年間の本研究課題において、8報の査読付国際学術論文、1報の解説、7件の国際学会発表、2件の招待講演、23件の国内学会発表を行なった。
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