本研究では、弱い相互作用である水素結合を利用したイオン性超分子金属錯体の構築を目的とした。水素結合ドナーとしてビグアニド基を有するカチオン性金属錯体と、水素結合アクセプターとしてカルボキシ基を有するアニオン性金属錯体を組み合わせることにより、大きな空孔を有するイオン性超分子金属錯体を合成することに成功した。弱い相互作用で連結された空隙率が高い構造であるにもかかわらず、安定な構造を有することは特筆すべきである。また、同様の仕組みを用いて、錯体カチオンと有機アニオンからなる水素結合ネットワーク構造の合成も行うとともに、水素結合による構造変換の制御にも成功した。
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