研究課題/領域番号 |
18K05163
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
金 幸夫 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (40186367)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロ流路 / バイポーラー電極 / 顕微分光 / 電気化学検出 |
研究実績の概要 |
2本のマイクロ流路間に配したバイポーラー電極(BPE)を利用する新規2流路BPEセンサーの開発を目指し、本研究では、(課題1)電気化学応答特性の解明、(課題2)蛍光応答特性の解明、(課題3)検出流路形状依存性の検討、(課題4)BPE電極サイズおよび駆動電極間距離依存性の検討、(課題5)置換型ストリッピングボルタンメトリー(SV)への応用を検討する。平成30年度の課題1および2の基礎的検討結果をふまえ、本年度は、課題3及び4を進めた。 課題3については、流路幅及び深さを変えた流路を作製し、電気化学応答の流路幅および深さ依存性について検討した。流路幅に関しては、マイクロ電極の電極面積と対応するため、流路幅に比例した電流応答が観測された。一方、流路深さに関しては、深い流路ほど電極捕捉率が低下し効率が低下した。高感度なセンシングのためには最適な流路深さを検討する必要がある。本年度は、流路幅・深さとも2種類の流路を作製・検討したが、次年度はさらに異なるサイズの流路を追加し検討する。課題4については、課題2の流離幅同様、電極サイズを大きくすると電極面積が増加するので、それに応じた電流応答の増加が観測された。よって、生成する蛍光レポーターであるレゾルフィンの絶対量は増えるが、その密度は同程度であるため、蛍光強度の積分値は増えるもののスポット強度は大きく変化せず、高感度化のためには、単にサイズだけでなく、非対称構造も含めた電極形状および流路形状を検討する必要があると思われる。 以上のように、概ね当初計画に沿って研究は進んでおり、令和2年度においてはバイポーラー電極で接続した2マイクロ流路型センサーの特性を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度計画にしたがい、流路幅および深さが異なるマイクロ流路、および電極幅の異なるマイクロ電極を作製し、それらの電気化学応答を検討した。流路に関しては、幅、深さ、それぞれ2種類を検討したが、電気化学応答の流路サイズ依存性は、理論的に予測される応答とほぼ一致する結果を得た。電極幅についても2種類を検討したが、電極面積に比例する応答を得た。いずれも、2種類以上、検討する必要があるが、予測された結果を得ることができたので、3年目のセンサー特性を評価する基礎的なデータは得られたと考え、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和2年度は、課題3、および4の、流路幅・深さ、および電極幅を3または4種類にし、データ数を増やすとともに、単にサイズだけでなく、非対称構造も含めた電極形状および流路形状の異なるバイポーラー電極で接続した2マイクロ流路型センサーを作製し、その応答についても検討する。電気化学応答と、レポーター分子の蛍光強度変化および蛍光イメージングの結果を合わせて議論し、バイポーラー電極で接続した2マイクロ流路型センサーの特性を明らかにする。その上で、その応用例として課題5である置換型ストリッピングボルタンメトリーへの応用について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の試薬が不要になり、購入しなかったため、次年度使用が生じた。次年度の経費と合わせて試薬購入に用いる。
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