研究実績の概要 |
本年度は、化学シフトが大きくプロトンや炭素よりもシンプルなシグナルが観測される31P NMRで、キラルランタノイド錯体を用いて不斉ホスフィンのシグナル分離ができないか検討した。キラル錯体としては(+)-3-(Trifluoroacetyl)camphorを3分子持つYb(III)およびSm(III)錯体を用い、(1R,2R)-および(1S,2S)-2-(Diphenylphosphino)-1,2-diphenylethylamine、(1R,2R)-および(1S,2S)-2-Amino-1-phenylpropyldiphenylphosphine、(R)-および(S)-1-Amino-8-(diphenylphosphino)-1,2,3,4-tetrahydro-naphtaleneなどの31P NMRシグナルの分離を試みた。いずれの基質もランタノイド錯体の種類や錯体および基質濃度を調節することによって、シグナル分離できることが分かった。この結果から、アミノ基等の配位可能な官能基を有する不斉ホスフィンは、ポルフィリン錯体等を用いて化学シフトを拡張しなくても、31P NMRを用いることによって十分キラルシグナルの分離が可能であることが明らかになった。
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