研究実績の概要 |
アミノ酸類を原料とした電気炉加熱分解法によるカーボンナノドット (以下、CND) の発光波長、合成収量におよぼす加熱温度と加熱時間の影響について検討した。これまで採用してきた加熱温度 250 ℃、加熱時間 2 時間を基本とした。加熱温度は 200, 150 ℃ に低下させたところ CND の合成収量に大幅な低下が生じた。原料のアミノ酸類の加熱による単価が十分に進まず CND が充分に生成しなかったためと考えられる。一方で、生成量は少ないながらも、低温度条件で得られた CND の発光波長は長波長化することが確認された。ナノドット類の発光波長には粒子サイズとの相関があるとされているため、高温度条件では原料の炭化が迅速に進行することで小さい粒子サイズの CND が生成しするのに対して、低温度条件では原料の炭化が緩やかに進行することで粒子サイズの成長が促されるものと考えている。発光波長における長波長化は CND の発光プローブとしての展開において克服すべき課題の一つである。発光波長の長波長化を維持しつつ合成収量を増大させることを目的として、低温度条件での加熱時間延長の効果について検討した。低温度条件で 2 h から 8 h までの加熱時間で得られた CND の合成収量はゆるやかに増加した。しかしながら、高温度条件で 2 h の加熱時間で得られた CND の合成収量にはまだおよばない段階である。ここまでは手動で加熱時間を制御していたが、タイマー制御が可能な電気炉によってより長時間の加熱時間での CND の合成に取組む予定である。
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