質量分析は化学分析法の主要な手段として従来の物質科学から生命科学や医療科学の広範な分野に広がっている。しかし、質量分析は試料の質量の情報しか与えず、構造の情報を直接、得ることはできない。この質量分析の問題を打破する気相イオンの新しいNMR分光法の創出は、化学分析が要となる上記の多くの分野の緊急の課題と考えられる。本研究ではこの課題解決のため、質量の情報と同時に構造の情報も得られる気相イオンのNMR分光法の開拓を初めて試みた。ここで目指す気相イオンのNMR検出は、基礎学問的に気相分子イオンのNMR分光分野を拓くに留まらず、医療科学分野等への応用により化学分析の変革が期待される。
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